バブル経済と言われる1986年から1991年までの期間、日本経済は右肩上がりに成長を続け、派手で煌びやかな生活が行われた。現在60歳以上の世代が、日本の好景気時代を知り、楽しんでいたことになる。
筆者も両親の世代や会社の先輩などから、バブル経済期の話を聞いて、驚くことが多々あった。今では、絶対にありえないバブル時代のエピソードを振り返りながら、現在の常識とは異なる点をまとめていく。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA、AdobeStock(トップ画像=pressmaster@AdobeStock)
■景気後退を感じる60代以上と経済成長を感じたことの無い30代以下
バブル崩壊以降、日本経済の低迷は長い。その間、いざなみ景気やアベノミクスなどで、経済成長したと言われるが、実際の生活で「景気が良くなった」と感じたことがある30代以下の人は、ほとんどいないのではないか。
ディスコで踊り、タクシーを止めるのに1万円札を掲げていたなど話には聞くが、筆者世代の感覚では、まことしやかにささやかれる古の伝説のようなものとしか思えない。
しかし、バブルを経験してきた世代と商談したり接客したりしていると、こうした活動が当たり前に行われていたのだと痛感することが多かった。
販売現場では、「クルマは家まで売りに来い」、「点検の時は家までクルマを取りに来い」、「契約したら○○が出てくるのが当たり前」という、ディーラーの新人研修では教えてもらっていないシチュエーションに、数多く出くわすのだ。
時代が変わり、今はできませんと言っても聞く耳を持たれないことも多かった。バブル世代には、是非、今の出来得るサービスというものを考えて欲しい。
■商談は軽食を挟みながら? 納車後はレストランでお食事を
現在のディーラーで、商談時に出てくるものは飲み物程度だ。加えてクッキーなどが出てきたら、既に最上級のおもてなしと考えていいと思う。
しかし、バブル期の話を聞けば、サンドイッチなどの軽食を提供しながらの商談は当たり前だったというのだ。また、納車時にプレゼントを渡すのは当たり前、ディーラーがレストランなどを予約し、納車のお祝いをしたという話も聞いたことがある。
納車後の祝席というのは、結構一般的なようで、顧客側から営業マンへの労いとして企画されたものもあったようだ。筆者も一度だけ、店頭で納車した後に、オーナーから食事に誘われたことがある。当時、オーナーの年齢は70歳に近かった。
「あなたの分も用意してあるから是非」と誘われたので、業務時間中だったが上司へ許可を取りレストランへ同行。納車後に家族のお祝いの席に立ち会った唯一の出来事だ。
契約・納車は一大イベントではあるが、そのたびに贈答品を用意できるほど、今の世の中は明るくない。そして新型コロナの影響があり、飲食物にも気を使う世の中だ。プレゼントに食事、こうしたサービスは、本当に過去の遺物となっている。
コメント
コメントの使い方別にバブル期と同じサービスが必要とも思わんけど、「 令和には令和のサービスがあり、新しい価値を提供している」というだけのサービス、全然見えまへんけど。昔と比べてやたらと高くなった車を買うっていうことが、ユーザーにとってどれだけ大切なことなのか、売る側がちゃんと分かってないから買う人が減ってるのかも知れんよ。一因としてね。