スズキが、軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」の新バリエーションとして誕生させた「スペーシア ベース」は、なんと4ナンバーの商用車。あえて商用車とすることでラゲッジスペースの使い勝手を向上させたというのがセールスポイントだが、軽商用車の魅力はそれだけではない。
あえて商用車を選ぶメリットとは? 自身も4ナンバー軽を手に入れて普段使いやレジャーにフル活用しているモータージャーナリストの山本晋也氏に、そのポイントを語ってもらった。
文/山本晋也、写真/ホンダ、ベストカーWeb編集部、Adobestock
【画像ギャラリー】後席の使い勝手がハンパない! 魅惑の4ナンバー軽自動車たち(18枚)画像ギャラリー軽商用車の基準は後席と荷室の関係にある
スズキから新登場した「スペーシア ベース」は、軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」のボディを利用しながら商用車に仕立て直したニューカマーだ。
その内容については他の記事に詳しいが、簡単にいえば「おひとりさま仕様の軽商用車」とったところだろうか。同じスズキでいえばエブリイのようなキャブオーバースタイルの軽商用車もあるが、エブリイはエンジンをキャビン下に配置することで乗降性や快適性を犠牲にしつつ荷室を最大限に獲得するというパッケージだ。
一方、スペーシアベースは、エンジンをフロントに置くFFパッケージで、乗用車的な乗降性や乗り心地と、商用車ならではの実用性や発展性をバランスさせたモデルといえる。
では、5ナンバー(乗用タイプ)のスペーシアと4ナンバー(商用タイプ)のスペーシア ベースでは何が違うのか。最大のポイントは後席にある。
軽自動車に限った話ではないが、商用車には、『後席使用時において後席スペースより荷室が大きくなければならない』という条件がある。そのためスペーシア ベースの後席はヘッドレストもない、非常に簡易的ものとなっている。基本的には折りたたんだ状態で使うことを前提のデザインとなっているといってもいい。
逆にいうと、商用車だからといって豪華にしてはいけないというルールがあるわけではない。スペーシア ベースがマイルドハイブリッドも備わらないNAエンジンだけの設定となっているのは、価格なども考慮した商品規格の問題であって、商用車にはターボ不可というルールがあるわけではないのだ。軽商用車であっても自主規制である64馬力のエンジンを載せることは問題ない。
事実、ダイハツの軽商用1BOX「ハイゼットカーゴ」シリーズの最高峰といえる「クルーズターボ」は、ターボエンジンだけの設定となっている。スペーシア ベースがNAエンジンだけのグレード構成となっているのは、あくまでスズキの考え方によるものといえる。
ちなみに、スズキの軽商用車では前述したエブリイバンにおいても先ごろのマイナーチェンジでターボエンジン搭載グレードがカタログ落ちした。現時点では、スズキは軽商用車にターボ不要というスタンスに立っているといえるのかもしれない。
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