国交省に7つの疑問を問う!!  日産&スバル 激震の完成検査制度に問題はないのか?

国交省に7つの疑問を問う!!  日産&スバル 激震の完成検査制度に問題はないのか?

近年は完成検査で多くのメーカーで問題が露わになっている。もちろん国が定めた方針に沿っていないことは大問題だが、そもそも完成検査が時代にそぐわないのではないかという見方もある。

今回ベストカーは国土交通省に取材を申し込み、一問一答形式で回答をもらった。いったい国は完成検査についてなにを考えているのか。今後の完成検査はどう進むのか?

※画像はイメージです

文/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年11月26日号


■国交省は不正が相次ぐことになにを思うのか?

不正とされる事象がこれほど各メーカー相次ぐということは、そもそもの話として完成検査の制度そのもの、また現実的な運用方法にも問題があるのではないか!?

そのあたり、管轄する国土交通省はどのように捉えていて、どのような対応をしていくのであろうか。

国土交通省自動車局審査・リコール課が一問一答形式で回答を寄せた。

【質問1】
 これほどまでに相次いで、各自動車メーカーの「完成検査における抜き取り検査」で不正事象が起こっていることを、国土交通省としてはどのように捉えているのでしょうか?

■回答
自動車メーカーが型式指定車について行う完成検査は、国に代わり自動車の保安基準適合性を確認するものであり、厳に適切に実施することが必要であるにもかかわらず、昨年の秋以降、複数の自動車メーカーにおいて不適切事案が判明し、コンプライアンス上の不適切な事案が続発していることは、極めて遺憾です。

自動車メーカー各社にあっては、不適切事案に繋がるリスクや要因にまで目を向けながら、コンプライアンス重視を浸透させ、信頼回復に向けて取り組んでいただく必要があると考えております。

国土交通省においては、2018年の10月12日に公布した省令改正の着実な実施によりルール遵守と不正の防止を図るとともに、「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」中間とりまとめの内容にもある効果的な監査の実施に取り組む等により、適切な完成検査の確保を図って参ります。

組み立て作業に携わる人間の数は想像以上に多い。国の保安基準に適合するか検査をするのが完成検査だが、そもそもそれを民間企業に任せるというのも不思議な制度

【質問2】
 「完成検査」の制度そのものが、約50年前から実施されており旧態依然とした制度と思われます。

 この制度は現在の「時代の先端をいく商品であるクルマを作る行程、システム」や「実態」にマッチしていないと思います。

 なぜ、約50年間も同じ完成検査を続けるのですか?

■回答
自動車メーカーの行う完成検査においては、一定割合の基準不適合車が検出されており、その実施は自動車の安全確保のために必要不可欠です。

また、完成検査制度については、自動車メーカーやその工場毎に、製造する車種に応じて生産ラインが異なることから、自動車メーカーの生産の自由度を損なうことのないよう、その実施方法について国が画一的に定めることはしていません。

さらに、自動車メーカーの求めに応じ、工程内検査、検査の自動化、抜き取り検査の採用なども可能としていたところでありますが、今般の省令改正でも改めて明確化したところであり、各社においてその実施方法は適宜見直されてきた、と認識しています。

いずれにしても、中間とりまとめでも提案のあるとおり、技術進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保の在り方について継続的に見直しを行うこととされておりますので、この課題についても、関係者と議論しつつ取り組んで参ります。

なお、日本と同様の型式認証制度がある欧州でも、完成車による検査を行うこと等により基準に適合することを確認することが求められています。完成検査については、我が国と同様の考え方が採られています。

50年近く変わらない完成検査の方法。印鑑を使いまわすなどさまざまな不正が発覚しているが方法に問題はないのか?

【質問3】
 9月28日、スバルが発表した資料によると「ライン完成検査で行われていた検査実施方法は”記録が残らず(残す必要はなく)、検査員の記憶による検査”」ということです。

 記録を残さない検査を国交省はメーカー側へ続けさせたということになりますが、大切な検査を記録なしですませていいのでしょうか?

■回答
これまで、省令において、完成検査の記録を保存すべき、としており、記録を保存する義務が課せられております。

スバルにおいても全数検査においては、「完品票」にその実施結果を記載することとなっております。

なお、虚偽の記録がなされている恐れが生じたことから、今般、省令においても措置し、虚偽記載が明確となった場合には、罰則の対象としております。

次ページは : ■メーカーに任せる完成検査、国交省がやるべきでは?

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