国交省に7つの疑問を問う!!  日産&スバル 激震の完成検査制度に問題はないのか?

■メーカーに任せる完成検査、国交省がやるべきでは?

【質問4】
 ここまでのやりとりで、率直に感じるのは、「なぜ、メーカー側だけに検査を任せるのではなく、国土交通省など外部の担当者が検査をしないのか?」ということです。

■回答
民間の能力を活用しつつ、適切に安全性を担保する観点から、所要の品質管理能力を有し、かつ、サンプル自動車が基準適合性を有することを国が認めた場合において、指定を受けた自動車について自ら検査を行うことができるとする現行制度は適切と考えております。

【質問5】
 先の質問に関連しますが、各自動車メーカーで同様の不正が次々と発覚しているということは、長年にわたり国土交通省側の査察が適正に実施されていなかったとも考えられますが、この件についてはどうでしょうか?

■回答
従来の国土交通省の立入検査は事前に通告する形をとっていたため、自動車メーカー側で、国土交通省側の立入検査時には、不適切な対応を隠す行為がありました。

そのほか燃費及び排出ガスの抜き取り検査の不適切事案に関しては従来の立入検査の方法に加え、詳細に立ち入って検証しなければ、発見ができなかったという事情があります。

立入検査につきましては、中間とりまとめにおいて、無通告立入検査の活用等、チェック方法の強化が提言されているところですが、国土交通省としましては、一連の完成検査の不適切事案に関する各社の調査報告書を通じて明らかになった事案の具体的内容やその原因なども踏まえつつ、立入検査の在り方については、不断の見直しを図って参ります。

国内工場で製造する車種でも輸出用車両は完成検査の必要性がない。当然その品質も問題ないのだ

【質問6】
 このように約50年間、ずっと同じ完成検査の方法を行ってきた結果、ここ1年「自動車メーカー側の不正発覚とお詫び」が頻発しています。

 このようなことがあまりに続くと、日本国民が国産車メーカーへの信用をなくし、国産車を買わなくなる人が増加することも考えられます。

 そうなると、日本の基幹産業が揺らぎ、経済活性化が後退します。国土交通省として、そういう事態になってもいいのでしょうか?  ご回答をお願いします。

■回答
自動車メーカー各社にあっては、不適切事案に繋がるリスクや要因にまで目を向けながら、コンプライアンス重視を浸透させ、信頼回復に向けて取り組んでいただく必要があると考えております。

先に述べた通り、国土交通省においては、10月12日に公布した省令改正の着実な実施によりルール遵守と不正の防止を図るとともに、「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」中間とりまとめの内容にもある効果的な監査の実施に取り組むなどで、適切な完成検査の確保を図っていきます。

また、中間とりまとめでも提案のあるとおり、技術進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保の在り方について継続的に見直しを行うこととされておりますので、この課題についても、関係者と議論しつつ取り組んで参ります。

これらを総合的に実施し、自動車メーカーでの不適切な完成検査の再発防止を図ることにより、国としても、自動車メーカーの信頼回復を促して参ります。

■今後も完成検査は変わらずに続くのか?

【質問7】
 最後に、現在実施しているこの検査方法を今後、何も変えることなく続けるつもりなのでしょうか?

■回答
中間とりまとめでも提案のあるとおり、技術進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保の在り方について継続的に見直しを行うこととされていますので、今後も続けます。

より合理的な基準適合性確保の在り方、検査の自動化の導入などを含め、これら課題について、今後も関係者と議論しつつ取り組んで参ります。

【まとめ】

国交省としても今回の一連の「不正事案」を看過することはできないと考え、速やかな対応を図ってきたことはわかった。

また、今回の質問に対する回答から、完成検査に対する我々の誤解も解けた。国交省側がメーカーに検査を丸投げしているのではなく、検査員資格についてもあえてメーカー側に自由裁量の幅を与えているなど、柔軟な対応の結果であることもわかった。

さらに、工業製品である以上、どんなに生産技術の水準が高まったとしても、一定の割合で不良品が発生することも理解はしている。

人と機械の融合が自動車工場。工業製品では一定の不良は出るが自動車も同じくだ

そのためにも完成検査は必要で、統計学的にも抜き取り検査による検査で、一定の基準が維持できることもわかった。

そのうえで、2018年10月12日に公布された「自動車型式指定規則の一部改正」について、まだまだ不足があり、根本的な問題解決には至らない、と提言したい。

この改正内容を見ていくと、結局のところ「規則の徹底をはかるべく厳罰化を明示した」ということ。

完成検査の根本に変更はなく、またメーカー側の自主管理に委ねている点にも変更はない。

高校野球に例えるなら、チームの監督がキャプテンにすべてを一任し、「試合でミスが出たらキャプテンの責任。背番号剥奪」のような厳しい罰則を明確化したことである。

もちろん規則遵守の徹底化は必要だ。しかし、現実に即した形で完成検査の在り方を見直していくことも必要な時期に来ているのではないだろうか!?

国交省にはそのあたりを次なるステップとして取り組んでいただきたい。

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