30年続いた平成の間に、自動車業界ではさまざまな“大逆転”が起きた。わかりやすい例では、RVブームを経て衰退したクロカン四駆が、キャラクターを多様化させながらもSUVとしてトレンド化したことは記憶に新しい。
このほかターボやディーゼルなど従来のイメージを逆転させたエンジンや圧倒的市民権を得るに至ったハイブリッド車など、平成の30年間で一躍市民権を得たり、再ブレイクした自動車の逆転劇を振り返る。
文:ベストカー編集部/写真:編集部、
ベストカー 2018年12月10日号
【1】スタンダードになった5ドアハッチバック
平成初期、日本には元気なハッチバック車が多くあったが、そのほとんどは3ドアで、5ドアは「バンみたい」と言われて人気がなかった。当時のハッチバック車は4ドアをわざわざセダンに作り替えるほどで、それほど5ドアハッチバックは「ダサいもの」として敬遠されていたのだ。
そんな風潮を変えたのは1999年(平成11年)に登場した初代ヴィッツだろう。のちにアウディのチーフデザイナーとなるギリシャ人のソリティス・コヴォス氏がデザインを手掛けたハッチバックの革命車。5ドアも美しく「だったら便利な5ドアに」というユーザーを一気に増やした。
日本では今や3ドアハッチバックはほとんどない。スイフトスポーツやシビックタイプRなどの本格スポーツモデルも5ドアを採用している。
【2】クロスオーバーカーはキワモノから流行りへ!
異なるカテゴリーを組み合わせて作るクロスオーバーカー。平成初期には個性的なクルマがたくさんあった。
インプレッサグラベルEX、ホンダ クロスロード、スターレットリミックスなどはその一例で、眺めていると、おもしろいクルマを作りたい気持ちはわかるが、まだこなれていない感じが伝わってくる。
一方、今。クロスオーバーは主力カテゴリーのひとつとなって、市民権を得た印象だ。それにはSUVが確固たるポジションを得たことが大きい。「とりあえずSUV風にしておけば安心」という勝利の方程式が確立したからだ。
クロスオーバーカーはキワモノ的な扱いから年月を経て大逆転。最近ではオーソドックスなSUVよりもクロスオーバー的な要素の強いクルマのほうが人気があるケースもある。
ただし、クーペSUVを連発してくるドイツ勢に比べ、日本車はまだ「甘い」という見方も。今こそ大胆なクロスオーバーに挑戦してほしい。
【3】ターボエンジンはパワーでなく効率で脚光
昔はパワーを出すためだけのものだったターボエンジンが、今は燃費を向上させるためのものに逆転している。2005年(平成17年)にフォルクスワーゲンが実用化したTSIエンジンがダウンサイズ過給エンジンのハシリ。
日本でも軽自動車ターボはTSIエンジンのはるか前からあったわけだが、そちらは少ない排気量で大きなパワーを出すためのもの。また、日本では燃費向上のための技術はハイブリッドが主流で、ダウンサイズターボは今でも少数派だが、それでも30年間でターボの役目が逆転しているのは興味深い。
今や欧州車ではガソリンエンジンにターボが付くのはあたりまえで、わざわざそれとは表示しないクルマも増えている。
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