GR86、スイフトスポーツ、インプレッサスポーツ、フェアレディZ、カローラシリーズ…いずれ劣らぬ人気モデルたちだが、最廉価グレードは果たして“買い”なのか? “コスパの鬼”こと自動車評論家 渡辺陽一郎氏がそれぞれの長所、短所を明らかにした上で、「最廉価グレードに向いてる人」「向いていない人」を指南!
※本稿は2022年9月のものです
監修/渡辺陽一郎、文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年10月26日号
※写真は当該グレードと異なる場合があります。
■日産 フェアレディZ(最廉価グレード:標準 524万1500円)
最初にプロトスペックが696万6300円で発表された時は、価格の高さに驚いた。しかし同じ装備で色彩だけが部分的に異なるバージョンSTが約50万円安い646万2500円で発表され、プロトスペックの割高な価格に怒りを感じた。
このようにフェアレディZの価格は問題アリだが、標準仕様の524万1500円は買い得だ。動力性能は上級グレードと変わらず、バージョンSに比べると4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ、レイズ製19インチアルミホイール、機械式LSDは装着されない。
その代わり価格は約82万円安い。19インチタイヤのバージョンSやSTに比べて、タイヤが路面をつかむ力は少し下がるが、車両の挙動をコントロールしやすい楽しさもある。一般的に高価格車では最も安価なグレードは選ばれにくいが、フェアレディZの標準仕様は注目されるべきグレードだ。
■日産 フェアレディZ
・最廉価グレード…「標準モデル」
・長所…動力性能は同じ…クルマをコントロールする楽しさは変わらない
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…タイヤ&ホイールサイズが小さくなり、ブレーキもチープになるのが嫌な人
■トヨタ GR86(最廉価グレード:RC 279万9000円)
RCは価格を280万円弱に抑えたグレードで、モータースポーツのベース車両として開発された。価格をSZの6速MTと比べると23万7000円安く、遮音/吸音材、アルミホイール、荷室のトリムやランプなどを省いた。標準装着されるホイールは、スチール製の16インチ(205/55R16)だ。
モータースポーツに参戦する時は、ホイールとタイヤは競技に適したタイプを選び、遮音/吸音材などは軽量化のために剥ぎ取る。最初から装着しないほうが合理的だ。
しかもSZとRCの装備に大きな差はない。サイド/カーテン/ニーエアバッグ、バイビームLEDヘッドランプ、スマートエントリー&スタートなどはRCにも標準装着される。
そのためにRCの価格はSZの6速MTに比べて23万7000円安いが、省かれる装備の価格換算額は20万円前後に収まる。したがってRCは装備がシンプルで、なおかつ価格は割安だ。
とはいえノイズが大きくアルミホイールも備わらないから、一般ユーザー向けではないが、チューニングやドレスアップを楽しみたいユーザー向きだ。
RCのようなグレードを用意すると、クルマ好きのユーザーが増える。販売店のやり方次第では、深く長く付き合うことも可能だ。仮にモータースポーツをやめても、クルマ好きだから定期的な乗り換えなどが期待されるので、特殊な仕様のRCも、販売戦略上で大切な存在だとわかる。
■トヨタ GR86
・最廉価グレード…「RC」
・長所…装備はSZと差がない/好きなパーツを装着したい人には最適/デザインもほぼ同じ
・最廉価グレードを買っちゃダメな人…クルマに静粛性を求める人/クルマの振動に神経質な人
コメント
コメントの使い方カローラスポーツの6MTってもう無くなったけど