今のステアリングといえばオーディオに先進安全装備を操作するボタンがズラっと配置されている。だからこそ社外品に丸っと交換! なんて人はかなり少数に。
だが、かつてのクルマ好きはタイヤ&ホイール交換と同じノリでハンドルも自分好みのブランド品に交換していたのだった。でも、どうしてあんなに交換する人が多かったんだ!? もしやモテたの?
文/小鮒康一、写真/TOYOTA、NISSAN、MAZDA、DAIHATSU、AdobeStock(トップ画像=funkyfrogstock@AdobeStock)
■今やボタンだらけのハンドル……交換はマイナーなカスタムに
運転中はほぼ常に触れることになるステアリング。それだけに自分の感覚にマッチしたしっくりくるものを使用したいと考えるのは当然のこと。
ただ最近では純正ステアリングの質感などもかなり向上したほか、オーディオや運転支援系などのスイッチもステアリングのスポーク部分に組み込まれていることが多い。そのため、ステアリングを交換するという行為自体がかなりマイナーな存在となってしまっている。
ただしロードスターや86/BRZなどの一部のスポーツ系車種などにおいては、純正ステアリングに備わっているスイッチを移設してステアリング交換を可能とするキットなどもリリースされており、今でもステアリング交換をするユーザーは一定数存在しているようだ。
■Z31にセリカXXも見た目が……当時のハンドルはデザインがイマイチだった!!
では逆に、かつてのクルマ好きはなぜこぞって純正ステアリングから車外ステアリングへと交換を行ってきたのだろうか? 当時はクルマのカスタマイズの第一歩としてステアリング交換から入るユーザーも珍しくなく、カー用品店にもさまざまなステアリングが所狭しと陳列されていた時代もあったのだ。
当時、なぜステアリング交換がカスタマイズの主流だったのかというと、それはやはり純正ステアリングがとてつもなく野暮ったかったからにほかならないだろう。
80年代前半のスポーツカー、例えば初代のセリカXXやフェアレディZ(S130~Z31前期)など、今見てもスポーティなフォルムを持つモデルであっても、標準で備わるステアリングはA型の2本スポークかつ、明らかに大径のステアリングが標準装備となっていたのである。
一方、当時の社外ステアリングと言えば、今でも多くのファンを抱えるMOMOのプロトタイプやナルディのクラシックなど、T型スポークを持った小径かつスポーティなものがすでに存在しており、これらのステアリングに交換することでようやくスポーツカーのコックピットと呼べるスタイルを手にすることができたというワケだ。
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