マツダ期待の新世代ラージFRモデル第1弾、CX-60が登場した。CX-60にはガソリン車、クリーンディーゼル車、マイルドハイブリッド車、プラグインハイブリッド車など多数のパワートレーンが用意されている。
現在もなおガソリン高騰が続くなか、ガソリンより安い軽油を使うクリーンディーゼルエンジンもあえて選択の余地として残したマツダだが、クリーンディーゼルというパワートレーンの選択肢は今、ありなのかなしなのか……。自動車評論家 国沢光宏氏が指南する。
※本稿は2022年10月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月10日号
■続くガソリン高騰ハイブリッドか? ディーゼルか?
ガソリン価格の高騰が続いている。このまんまということもないだろうけれど、ユーザーとしてはやはり対応策を考えておくべきだと思う。
ということで、お薦めは「燃費のいいクルマを買う」ということだろう。
簡単なことながら費用対効果は絶大。仮に燃費10km/Lのクルマに乗っているとしよう。リッター130円なら、1万km走ってガソリン代13万円になる。リッター170円だと17万円。4万円もの負担増。
チョイスはふたつ。
ハイブリッドかディーゼルです。多くの人が前者を選ぶと思う。燃費16km/Lになると1万km走るのに必要なガソリン代は10万6000円になり、エネルギーコスト的に考えたら安くなる。
リッター200円になったって12万5000円だから節約可能。
そう考えてみたらハイブリッドって偉大だ。ガソリン高騰をすっ飛ばすくらいのパンチ力ありますから。
ということでクルマを買うなら基本ハイブリッドだ。
■燃費だけならハイブリッド けれど軽油はガソリンより20円も安い!
ふたつめのチョイスがクリーンディーゼルとなる。
ここにきてあまり話題にならなくなってしまったけれど、ハイブリッドのアンチテーゼと言える。
CX-60の場合、マイルドハイブリッドなしのディーゼルは燃費でハリアーなどのハイブリッドにこそ届かないものの、14km/Lくらい走ってくれます。
燃費だけ考えたらハイブリッドに届かない。けれど、軽油はガソリンより20円も安い!
1万km走った時の燃料コストは10万7000円。ハイブリッドとの差はなし! もう少し深く突っ込むと、走行条件によってはハイブリッドより安く付く。ディーゼルが得意としているのは、比較的走行速度の高い領域だ。
新東名や東北道の制限120km/h区間を流れに乗って走るようなケースだと、絶対的な燃費で限りなくハイブリッドに迫る。こうなれば20円安い分のメリットが出てくる。
逆に街中の渋滞ばかり走るような使い方だと、ディーゼルのメリットはなし。そればかりか、弱点すら出てくる。
ご存知のとおり、ディーゼルの排気ガスのなかにはPMという物質が含まれており、チョイ乗りやアクセル開度の低い状態で乗るとこいつをため込んでしまう。
多くの人はディーゼルエンジンの弱点として認識しており、忌避の理由にしている傾向にあるようだ。
■ディーゼル本来の乗り方をすればススの付着は気にしなくてよいレベル
YouTubeなどの動画では、マツダのスス落とし作業が山ほど出てくる。見るとあまりの酷さに購入意欲が薄れちゃう。
ただ、ディーゼル本来の乗り方をすれば、ススの付着は気にしなくてよいレベルだと私は考えます。
クルマ好きならアクセルを踏む。エンジンに負荷をかけることでススの付着を相当防ぐことができるのだった。
アクセル開度の大きい領域で使うことの多い欧州のような環境だと、ほとんど問題にならない。
考えていただきたい。病院に行けばたくさんの病人がいる。でも、街中だと病気になっている人の確率は低い。ディーゼルのスス問題も同じ。乗り方次第で必ず溜まると思う。
そういう使い方をする人からすれば、ディーゼルは間違った選択だということ。私たちメディアに責任があるとすれば、過去データがないためこの点をしっかり認識できておらず、普通のエンジンとして紹介したことにある。
もうひとつ付け加えるならアイドリングストップも使わないほうがいい。
始動時にススも出やすくなるし、ディーゼルはアイドル燃費がいい。短い停止なら止めなくたって大差なし。
それでいて停止頻度が多いとバッテリーに負担をかけてしまい、2~3年で交換を余儀なくされる。ディーゼルのアイドルストップ用バッテリー、節約できる燃料代より基本的に高価だし。



















コメント
コメントの使い方燃料だけではなく、最近のディーゼル車なら尿素水も必要だね。
電気自動車やディーゼルは万人受けするものではないが、自分の使い方、乗り方に合えば良い相棒になると思う。ユーザーが間違った選択をしておいて、非難や不満を漏らすのはカッコ悪い