トヨタの本社が愛知県豊田市にあることはよく知られているが、本社のある場所というのは各メーカーごとにさまざま。
日産はどうして横浜にグローバル本社が? ホンダは青山に本社があるけど創業したのは静岡出身? など、各メーカーとその場所とのつながりやそのまでの変遷を紹介していきたい。
文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、スバル、スズキ、ダイハツ
■本社と生産拠点がある場所が本拠地?
「企業城下町」という言葉がある。大きな企業が地域に密接する形で発展し、その企業なしでは町としての社会経済が成り立たないほどの関係性が成り立っている状態のことだ。そこには同企業の事業所や工場、あるいは取引先などが数多く存在し、地域住民たちの雇用が確立され、生活がまかなわれている。
このような企業城下町というのは、主に大規模な工場などを有する製造メーカーが展開していることが多いが、自動車メーカーもそれに当てはまる。現在、日本には新車(普通車)製造メーカーが8社あるが、このような企業城下町を持っているメーカーも多く存在する。
ただ、このような企業城下町には必ずしも本社があるとはかぎらない。本社=本拠地でなかったり、創業地もまた別だったりすることもある。さらに本社とは別に東京に本社的な拠点を設けるメーカーもある。さらに、現在ではどの企業もグローバル化しており、海外に生産拠点や開発拠点を設けるようにもなった。
たいてい本社というのは、大都市や交通の弁がいい場所に建てられるていることが多い。工場や営業所は、そのメーカーの創業の地や大きな敷地が取れるところといった具合だ。こういったことは、すべてメーカーごとの歴史や状況に応じて成り立ってきたというストーリーがある。
日本にある自動車メーカーの拠点は自動車大国ニッポンの財産。それぞれどの地域にどんなメーカーが根付いているのか、クルマ好きなら知っておいて損はなし。各社の創業の地から現在の本社まで、メーカーごとに紹介していこう。
■国内3大メーカーの本拠地は三者三様
トヨタは1937年の創業で、最初に工場を置いたのは愛知県の挙母(こもろ)町。トヨタによって自動車製造工場が建てられたことで、養蚕や製糸業から自動車製造へとシフトした同町は、挙母は町から市へと発展を遂げる。
さらにその後、切っても切れない関係性を築いたことで、1959年には市名が「豊田市」に変更されることになった。現在では、豊田市トヨタ町1番地に本社ビルが立っている。
さらに愛知県内、豊田市内には、本社テクニカルセンターや研究所、主力工場、テストコース、企業の博物館なども点在している。
一方で、東京の水道橋(住所は文京区後楽1丁目4-18)には東京本社があって、名古屋には名古屋オフィスという大きな拠点も所有。しっかり地元拠点を確立したうえで飛躍的にステップアップして世界ナンバーワンの座を獲得したのだ。
日産は1933年に神奈川県の横浜市で創業。一時期、本社は東京都の東銀座にあったが、2009年に国際企業らしく「グローバル本社」と名乗る新ビルが横浜駅のすぐ近く(神奈川県横浜市西区高島一丁目1-1)に建てられ、現在ではみなとみらい地区の象徴的な存在にもなっている。
開発機関や研究所の多くが、厚木や横須賀など横浜周辺にあり、生産拠点も追浜(おっぱま)地区や厚木市など神奈川エリアを中心にに存在している。
ホンダこと「本田技研工業」は、ご存知本田宗一郎氏が1948年に浜松市で創業した。1953年に東京都内に本社を移転したあと、1985年に現在の港区南青山の本社ビル(東京都港区青山2丁目1-1)を設立。これは「青山一丁目交差点」前にあり、F1参戦第二期の頃に、古舘伊知郎氏の実況による名文句「青山一丁目の伝説」は今もよく知られている。
1960年に「本田技研工業」から分社化する形で「本田技術研究所」が独立し、同社の研究開発を担っているが、こちらは埼玉県和光市を拠点としている。その他、生産拠点は、埼玉県を中心に、栃木県、熊本県、三重県の鈴鹿などにも工場が設置されている。
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