■完全地元密着型から本社と本拠分裂型まで
三菱自動車は、1964年に三菱重工の自動社部門から独立する形で創業。当初はジープの販売会社だった。
現在の本社は東京都田町駅前の「Msb Tamachi 田町ステーションタワーS」(東京都港区芝浦3-1-21)内にあるが、1970年代~2000年代までは勝海舟と西郷隆盛が会談した地、芝にあった第一田町ビルに居を構えていた。工場やテストコースなど生産拠点は、創業時から愛知県の岡崎市周辺にあり、こちらが本拠地ともいえる。
マツダは広島県で1920年に前身企業「東洋コルク工業」として創業すると、1927年には東洋工業へ改称。同社は1930年に現在の本社を設立(広島県安芸郡府中町新地3-1)、さらに工場も併設している。戦時中の軍需工場時代や広島への原爆投下といった辛い時代を経て、早くも1945年には3輪トラックの生産を再開、一時期、1980~1990年代のフォードとの資本提携時代を経て、その後も順調に規模を拡大してきた。
まさに広島県に腰を落ち着けている地元密着型企業であり、本拠地である広島は企業城下町そのもの。本社工場、宇品工場、三次の試験場や事業所があり、マツダのネーミングライツがついた広島カープの本拠地、「Zoom-Zoomスタジアム」も本拠地の近くにある。東京本社はかつて帝国ホテル横のU-1ビルに入居していたが、現在は霞ヶ関ビルディングへと居を移している。
スバルは東京都の恵比寿エリアに立派な新本社ビル(東京都渋谷区恵比寿1丁目20-8)を2014年に建てたばかりだが、それまでは新宿駅の真正面に居を構えていて、「スバルビル」は新宿西口の待ち合わせ場所としても有名だった。
1917年に群馬県太田市で創業した「中島飛行機」が前身で、ここが創業の地にして本拠地。1958年には自動車生産を開始し、本工場は今も群馬県太田市にある。そして同地は2001年にスバル町となっている。
スズキは1909年、前身の「鈴木式織機製作所」が静岡県浜名郡天神町村(現在の浜松市)で創業。戦争を経て、1947年に浜名湖のそば(静岡県浜松市南区高塚町300)に移転して以来、現在も同地に本社がある。当然、拠点は静岡を中心にしており、湖西工場、磐田工場、相良工場、浜松工場、大須賀工場と、二輪と四輪の工場が林立している。東京には「東京支店」が港区東新橋にあるが、あくまでも本拠は静岡という姿勢をしっかり打ち出している。
ダイハツは、もとをただせば1907年に大阪で創業された「発動機製造」という会社であり、国内自動車メーカーで最も古い歴史を持つ。その後、大阪の「大(ダイ)」と発動機の「発(ハツ)」を組み合わせた愛称「ダイハツ」が、「ダイハツ号」という車名、そして現在の社名へとつながった。
本社があるのは大阪府池田市ダイハツ町1-1であり、「ダイハツ町」の名の通りダイハツの企業城下町となっている。滋賀や京都、大分などにも生産工場を持っているが、最初に操業開始された工場にして現在も本拠とされているのは大阪府の池田である。
【画像ギャラリー】国産各メーカーの本拠地を写真でまとめて見る!(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方