ほんとに巨匠が作ったの? すごいデザイナーが手がけたのに残念だった日本車5選

ほんとに巨匠が作ったの? すごいデザイナーが手がけたのに残念だった日本車5選

 自動車デザイン業界には、巨匠と呼ばれる人がいる。現在、自動車デザインはメーカーの内製がほぼすべてになり、それら巨匠が活躍する場はほとんどなくなっているが、かつては巨匠たちが大活躍し、国産メーカーからの発注を受けて日本車のデザインを担当した例も少なくなかった。

 ただ、それらの中には、「これが〇〇氏の作品!?」と思うような、巨匠の面影が薄いものもある。そういったヘッポコ(スイマセン)なベスト5を独断でお送りします。

文/清水草一、写真/ベストカーWeb編集部

■ジウジアーロの作品には傑作と迷作がある?

先代スズキ アルト(8代目)。スズキ側は公式には認めていないが、アウディのチーフデザイナーとして活躍した和田智氏が関わったとみられている
先代スズキ アルト(8代目)。スズキ側は公式には認めていないが、アウディのチーフデザイナーとして活躍した和田智氏が関わったとみられている

●第5位 先代スズキ アルト(8代目)

 先代アルトのデザインには、アウディのチーフデザイナーとして大活躍し、現在もアウディのアイコンとなっている「シングルフレームグリル」を生んだ和田智氏がかかわったと言われている。

 スズキ側は公式には認めていないが、なんらかの形でかかわった可能性は非常に高い。「先代アルトのヘッドライトは和田氏のメガネに似ている」ともっぱらの評判だ。

 先代アルトのデザインは、軽セダン系としては非常に凝縮感が高く、クルマを知る者ならば「さすが和田さん」と唸らされるが、一般人の目には、まったくそうは映らないようだ。

 特に若い女子は、先代アルトが元アウディ・チーフデザイナーの作品だと聞いても「これがアウディ?」「信じられない」「知ってるクルマの中で一番ダサイ」くらいの罵詈雑言を投げかける。

 理由は「とにかくちっちゃくて貧乏っぽい」という身も蓋もないものであるが、和田氏のデザインは、軽セダンにはあまりにもハイブラウすぎたようだ。涙。

●第4位 三菱 パジェロ イオ・ソレント

三菱 パジェロ イオ・ソレント
三菱 パジェロ イオ・ソレント

 欧州向けのパジェロ イオは、当時工場を持っていたピニンファリーナが生産を担当した。

 ピニンファリーナがパジェロ イオを造っていたというのも意外な事実だと思いますが、欧州向けのパジェロ イオは、「パジェロピニン」とか「ショーグンピニン」といった名前で現地で売られていたというのも、日本人には衝撃だ。

 そして欧州向けパジェロ イオのフロントグリル等は、ピニンファリーナがデザインしたものだった。全体のほんの一部ですけど。

 そのピニンファリーナグリルやサイドモール付きのパジェロ イオは、日本でも「パジェロイオ・ソレント」の名前で販売されておったのですが、それもう、「これがピニンファリーナ?」と言うしかない、まったくもってフツーな感じだった。

 ほんの一部じゃピニンファリーナも手も足も出なかったんでしょうけど、それにしてもフツーすぎる……。

●第3位 レクサス LFA

レクサス LFA
レクサス LFA

 LFAのデザインには、かのフィオラヴァンティ氏がかかわったと言われている。こちらもアルト同様、トヨタは公式には認めていないが、なんらかの形で手伝ったんじゃないか……ぐらいのことは思ってもいいんじゃないか。

 フィオラヴァンティ氏と言えば、ピニンファリーナ在籍中、かのBBやテスタロッサ、328、としてF40のデザインを手がけた大巨匠。フェラーリのデザインは、「フィオラヴァンティ時代がベスト」と、今でも言われていたりする。

 そのフィオラヴァンティ氏がかかわった(かもしれない)LFAは、V10エンジンの超絶サウンドについては、「自動車史上最高!」「完全にフェラーリを超えた」と言われるが、デザインに関しては決して高く評価されていないし、フィオラヴァンティ氏が手掛けたフェラーリの名作とは比べるべくもない。

 がしかし、LFAのデザインは、『LF-A』という名のショーモデル時代、迷走を続けていた。どうしようもなくカッコ悪く、やっぱりトヨタはスーパーカーを作った経験がないからなぁ……と思ったものである。

 それを考えれば、LFAの最終形は、スーパースポーツとしては決して美しくはないが、そんなにカッコ悪くもない。見方を変えれば、なんとかあの形にまとまったのはフィオラヴァンティ氏のおかげ? なのかもしれない。すべて憶測です、スイマセン。

●第2位 初代日産 マーチ

初代日産 マーチ
初代日産 マーチ

 これは間違いなく、世界の大巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏の作品だ。言われてみれば初代マーチの形は、氏の傑作のひとつである初代フィアット パンダのようなシンプルさがあるようにも思えるが、自動車デザインは1ミリの差でカッコ悪くもダサくもなる。

 私は初代マーチのデザインを、美しいとかカッコいいとか思ったことは一度もない。むしろ安っぽい、どこかバランスの悪い形だなぁと思ってきた。私の目が節穴なだけかもしれませんが、いまだに初代マーチがジウジアーロ作品だとは思えません! 本当に申し訳ありません!

●第1位 2代目ダイハツ ムーヴ

2代目ダイハツ ムーヴ
2代目ダイハツ ムーヴ

 これまたジウジアーロ氏の作品だそうです。正確にはジウジアーロ氏率いるイタルデザインの作品で、巨匠が自ら手掛けたかどうかわかりませんが、いずれにせよ「ホントに!?」「マジで!?」と思ってしまいます。

 ジウジアーロ氏は、巨匠の中では最も数多く日本車とかかわっている。その中には、超名作であるいすゞ 117クーペや初代ピアッツァ、2代目スバル アルシオーネSVXなどがある。軽自動車とも関りが深く、フロンテクーペや4代目キャリィバンのデザインを見ると、「さすがジウジアーロ!」と唸らされる。

 でも、2代目ムーヴのデザインには、どこにも唸らされるところがないんです。ムーヴはワゴンRのコピーから始まったモデルですが、2代目もワゴンRの劣化コピーにしか見えません! どぼじでどぼじで!?

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