王道セダンの代表的存在であったクラウンが「クロスオーバー」へと生まれ変わって半年、発表発売以来、初めての「日本の冬」を迎えることになった。日本の冬の道といえばやっぱり気になるのは降雪路での性能だろう。新型クラウンクロスオーバーの雪道での走行性能はどんなものなのか。辛口(特にトヨタには)忖度ゼロのモータージャーナリスト、国沢光宏氏がチェックしました。
文/国沢光宏、写真/TOYOTA
■「こんな曲がりくねった雪道で60km/hとな!」
新型クラウンに追加された2.4Lターボのハイブリッドはシステム出力349馬力! 後輪モーターが最大出力80馬力を出しているとすれば、前輪は269馬力。といったスペックから想像するとFF的な走りになるかな、と思いながら走り出す。するとどうよ! どういった駆動力配分をしているのかまったくわからない! そして驚くほど素直かつ気持ちよ~く滑りやすい雪道を走るのだった。
特に「いいね!」と推したいのが、欧州のワインディングロードをイメージしたというアップダウンの多い一般道風のテストコース。両側雪の壁になっており、モンテカルロラリーのチュリニ峠(モンテの紹介で出てくるつづら折りの道)あたりをイメージしていただければいいと思う。普通なら最徐行で走るような雪道です。試乗会は対向車が来ないため(笑)、指定速度60km/hとのこと。こんな曲がりくねった雪道で60km/hとな!
しかも349馬力もある大柄なクラウンである。どんなモノかと走り出すと、意外や意外! 最初に驚いたのが「曲がること」。雪道を走っていて一番怖いのは「曲がらないこと」だったりする。クラウンときたらタイトコーナーでハンドル切ると、クルマの大きさをまったく感じさせないまま向きを変えてくれます。後で聞いたのだけれど『DRS』という4輪操舵システムを上手に使っているという。
クラウンのDRS、低い速度域だと後輪を逆相に操舵するためクルマの向きを積極的に変えようとする挙動になります。同時に前輪と後輪の駆動力配分もコントロールしている。相当複雑な制御だろうから、どこでどういった状況になっているか乗っていてまったくわからない。ただ「気持ちよく曲がりますね!」ということだけわかる。これならそれほど雪道に慣れていない人でも安心できるだろう。
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