理不尽すぎ!! 元ディーラーマンが暴露するモンスタークレーマー3選

理不尽すぎ!! 元ディーラーマンが暴露するモンスタークレーマー3選

 自動車ディーラーには朝から晩まで色々なお客さんが来店する。大多数は全く問題のない良いお客様だが、ほんの数パーセントが言いがかりや過度な要求を突きつけるクレーマーだ。ディーラーで月に一度は訪れるクレーム処理の実態を追う。

文/佐々木亘
アイキャッチ写真/Ewa Leon-stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

■認定中古車は高すぎる! 謎の経済論客

一般中古車に比べると高い認定中古車はクレーマーの標的になりやすい。経済や法律の知識を攻撃の材料として使用してくる(tong2530-stock.adobe.com)
一般中古車に比べると高い認定中古車はクレーマーの標的になりやすい。経済や法律の知識を攻撃の材料として使用してくる(tong2530-stock.adobe.com)

 整備基準が高く、長い保証と高品質を売りにする認定中古車は、他の一般中古車店のクルマに比べれば割高だ。多くは、これを理解したうえで今後の安心や信頼を含め、認定中古車を高いお金を出してでも買っていく。しかし、こうした中古車の差が、クレーマーの標的になることもある。

 近隣の中古車販売店に、正規ディーラーが展示する認定中古車と、同じ年式・グレード・色・装備で、同程度の走行距離の中古車が販売されていた。そのクルマの車両本体価格は250万円、いっぽうで認定中古車は300万円だった。

 ディーラーに訪ねてきたのは初老の男性。認定中古車を見るなり、「これを買う」と言うものの、「隣の中古車屋では同じクルマが250万円だった。同じクルマなら同じ値段にしろ」と要求してきたのだ。つまり50万円値引けという。

 続けて、「同じクルマなのに50万円も違うのはなぜだ。」と聞くので、対応した若手営業マンは「長期の保証や点検費用などを入れた価格になっております」と正しい回答をした。

 すると逆上した客は「こんな価格差は詐欺だ。お前は一物一価の法則を知らないのか。私は経済の専門家だぞ」と声を荒げた。

 確かに一物一価の法則というのはある。経済学の概念でモノやサービスの価格は一つに決まるというものだ。ただし、この法則が成り立つのは「完全競争市場」が前提であり、現実の市場では成立することはほとんどない。

 難しい言葉を使って、若手を脅しに来ていると感じた筆者は、二人の間に入って男性に話す。

「失礼ですが、経済のご専門であれば、一物一価の法則が一般市場では成立しないのをご存知かと。また、当店の販売価格にご納得いただけないのであれば、お客様のご期待に沿える別なお店でご購入ください。」

 男性はたじろぎ、二の句が出ずに退店していった。経済のみならず、法律や物理学、ひいては自動車の知識などを攻撃の材料として使用するクレーマーは多く存在する。自称専門家には、「手も口も出さない」方が無難だ。

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