専門家やクルマ好きには大好評の新型プリウスだが、クルマに対して関心の薄い層からはどのように受け止められているのだろうか。ディーラーでの試乗を終えたお客さん(ドライバー以外)に話を聞いてみると、専門家も気づかなかった、新たなプリウスの○と×が見えてきた。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■大きく変わった見た目には好意的な意見が多い
CMでは「PRIUS」の文字列にある「I(私の選択)」と「US(私たちの選択)」が赤文字に変化する。IとUSのからは、ドライバーだけでなくパッセンジャーにも、プリウスの魅力を感じて欲しいという願いが込められているように思う。
こうしたメッセージは十分に届いているようで、CMを見てカッコいいと思い、実物に乗りに来たと話す人が多かった。
実際にプリウスを見て、試乗中に助手席に乗っていた女性が多く口にしたのはスタイルの良さだ。増え続けるミニバンやSUVとは大きく違う、低く伸びやかなフォルムと、シンプルなデザインが良いという意見が多い。
特に好意的な意見が多かったのは30代から40代の女性。「昔憧れたスポーツカーの助手席に乗っているようでした」と、興奮しながら話す方もいたほどだ。
この世代は、幼少期から機能的で乗り降りのしやすいミニバンに囲まれて育っている。クルマは生活の道具であり、クルマに特別な思いを持ちにくかった世代でもあるだろう。
「クルマには詳しくないけれど、プリウスは一目見た時からカッコいいクルマだと思いました」という話が数多く出てきて筆者は驚いた。カッコいいクルマの価値というのは、いつの時代も変わらないのだなと、改めて考えさせられた次第だ。
■旦那の運転が上手くなった? と思えてしまうプリウスの走り
インテリアでは、シートに対する高評価が多い。背丈や体形に関わらず、体をしっかりと支えてくれるプリウスのシートは、多くの人が快適に座れるようだ。特に前席のシートは、大きすぎず窮屈でもなく、体の収まりが良かったという意見が多い。
また、普段ステアリングを握らない奥様、お子様から良く聞かれたのが「旦那(お父さん)の運転が、上手くなったように感じました」という話。不快な揺れや傾きが少なく、車酔いの心配が少ないという感想も多い。
新型プリウスのブレーキ制御は大きく改善された。俗にいう停車時の「カックンブレーキ」が起きにくいよう入念に調整され、少々荒めに踏んでも停車時に体が前後に動く衝撃が起きにくい。
「いつも信号で止まるたびに、もう少しスマートに止まれないのかなぁと思っていましたが、試乗中は不快な停車が無く快適でした」と、話を伺った30代女性は言う。
筆者が「クルマ側が上手に整えてくれているんです」と伝えると、「今日だけ旦那の運転が上手くなったのかと思ってしまいました」と、笑いながら話をしてくれた。
さらに、パーキングアシスト機能(トヨタチームメイト・アドバンストパーク)を体験した方からは、「こんなに簡単な操作でスムーズに駐車してくれるなら、私でも運転できそう」という感想も飛び出す。先進技術に驚く声も多かった。
ステアリングを握らずとも、クルマの良さがわかるというのは非常に大切なことだと筆者は思う。新型プリウスはドライバーにはもちろん、パッセンジャーにも十分な快適さ与えるクルマに生まれ変わったのだ。
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