未だ根絶には至らない過積載やリミッターカットのトラック。ルール違反者が得をし、マジメにコンプライアンスを励行する運送事業者が損をすることは許しがたい!! そんなルール違反者にトラックドライバーのDKさんが物申す!
文/トラックドライバーDKさん 写真(写真はイメージです)/フルロード編集部・Adobe Stock(トビラ写真:mat@Adobe Stock)
※2022年9月発行「フルロード」第46号より
過積載をしている同業者
こんにちはDKです。トラックドライバーには守らなくてはならない法令、ルール、マナーがたくさんあります。しかし、ルールやマナーをちゃんと守れる「お利口さん」だったら、そもそもトラックドライバーになっていないでしょう。
やっぱりトラック野郎といえば御意見無用! 私と同じようなハミ出し者のドライバー諸兄も多いのではないでしょうか。そんな私ですら許しがたいと思うのは、同業のドライバーを苦しめる違反です。
最近、その筆頭として感じるのは過積載です。少し前であれば、それこそ積んでナンボで、過積載は当たり前。定量で走っていたらおマンマの食い上げという時代もあったのかも知れません。
荷主としては、1台分の運賃にちょっとイロを付けたくらいでたくさん運んでくれるので、それは良いでしょう。運転手がサービス精神で多く積んでしまう心境もよくわかります。
しかしこの過積載っていうのは、よくよく考えれば運賃のダンピングです。例えばミカン箱1ケース10kgあたり100円の運賃だとします。12トン車に定積で1200ケース積むと、正規運賃は12万円になります。
これを1500ケース(15トン)の過積載で、運転手の小遣いに1万円を上乗せしても、運賃は13万円。単価をみると、1ケース100円だったはずの運賃が86.6円に値下がりしてしまっています。
このドライバーにとってはオイシイ話かもしれませんが、この荷主が次に依頼するときは、「1ケース当たり87円で運んでくれ」と言うかもしれません。
現在、物流の主流を担っているウイング車などのバン型トラックの場合、外観からは荷物が見えません。従って、外観を見ただけで過積載を発見することは困難です。
いっぽう、工事現場などに出入りする平ボディ車などは、積み荷が露出しています。建設資材や重機の重量を少し知っていれば、一見して過積載がわかる場合も多くあります。そして、そういう過積載状態の車両をしばしば見かけます。
さらには、そうしたクルマがテレビコマーシャルを流しているような大手ゼネコンの現場に出入りしている様子も見受けます。荷主とドライバーの力関係を鑑みるに、過積載の責任をドライバーに押し付けることはしたくありません。
気が付いた同業者や世間様には、過積載に対してもっと厳しい目を向けて欲しいと思っています。