自動車メーカーのブランドイメージの一端を担うのは、間違いなくグリルのデザインだ。BMWのキドニーグリルに始まって、国産車ではレクサスのスピンドルグリルが成功を収めている。そして日産はVモーショングリルでイメージアップを狙っている。近年の日産車はデザインや質感の向上に成功しているが、Vモーショングリルはどのような役割を果たしているのだろうか?
文/清水草一、写真/奥隅圭之、日産、ベストカー編集部
■ルークスのマイチェンでグリルデザインを変更
日産は3月、ルークスのマイチェンを発表した。最大の変更点は、ハイウェイスターのフロントグリルだ。日産セレナのような、多数の横桟を組み合わせたVモーショングリルに変わった。
日産のリリースによれば、「フロントグリルに新時代のVモーションを採用し、現行車でも好評な躍動感と高級感に磨きをかけました」とのことである。
ところでこのVモーショングリル、ユーザーには定着しているのだろうか? 多くのブランドが統一デザインアイコンを採用し、遠くからでも一目で見分けがつくよう、自社のイメージを確立しようとしている。
もともと統一デザインアイコンは、メルセデスのスリーポインテッドスターやBMWのキドニーグリル、ロールスロイスのパンテオングリルなど、ごく一部の高級ブランドだけが採用していたが、アウディが高級ブランドの仲間入りを目指す過程でシングルフレームグリルを採用。
この成功をきっかけに、日本ではレクサスがスピンドルグリルに統一。日産はVモーショングリルでブランドイメージのアップを狙った。
しかしこのVモーショングリル、マツダの5ポイントグリルやスバルのヘキサゴングリル同様、ユーザーの認知度は低く、よほどのクルマ好きでない限り、その名称を知らない。V型のグリルは、グリルの縁の形状として自然で違和感がない分、あまり印象に残らず、結果的に名前を知るところまで行かないのである。
あまりに印象が薄いことに危機感を覚えた日産は、V字型のメッキ部を太く強調するようになった。先々代セレナから先代セレナへの変更がその典型だ。確かにVは目立つようになったが、太いメッキ部は質感に欠け、全体のデザインイメージは決してアップしなかった。
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