ひと昔前のクロカンSUVの背中には、よくハシゴ(ラダー)が取り付けられていました。近年はみかけることが少なくなっていましたが、リヤラダーは、いままたひそかに注目され始めているようで、2023年5月に発売となった三菱の「デリカミニ」にも、社外オプション品が設定されています。ところでこのハシゴ、いったい何のためにあるのでしょうか。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ Fotokon
写真:MITSUBISHI、LAND ROVER、Adobe Stock
ルーフキャリアに載せた荷物にアクセスするため
リヤラダーは、ルーフキャリアに荷物を載せる際に使うもの。SUV5のように背の高いクルマだと、ドアを開けてサイドシルに立っても手が届きづらいため、このラダーがあると作業が楽になるのです。
昨今はアウトドアがブームになっていることから、車検対応のリヤラダーが社外メーカーから販売されています。冒頭で紹介したデリカミニのほか、デリカD:5やジムニー/ジムニーシエラ、ランドクルーザーやランドクルーザープラド、エクストレイルなど、アウトドアが似合うクロカンSUVには、たいてい用意されているようです。
「見栄えのため」が大半では!?
1990年代の第一次キャンプブームのころは、いまよりも、街中でリヤラダーを装着しているクルマを多く見かけました。90年代前半といえば、ランドクルーザーやハイラックス、パジェロ、デリカ、サファリ、テラノなど、様々なクロカンSUVが登場していましたが、これらクロカンSUVに乗っている人は、こぞってリヤラダーをつけていたように思います。
リヤラダーやルーフキャリアには、前述したような実用性という面ももちろんあるのですが、装着するだけでアウトドア感やオフロード感を演出することができるルーフキャリアやリヤラダーには、エアロパーツ同様に、クルマを自分好みに仕上げるアクセサリーという側面もあります。実際にSNSでは「かっこいいからつける」という声も多くあります。
この「見栄えのため」という面はいまも昔もさほど変わらないのですが、ルーフキャリアやリヤラダーを取り付けることに関しては、90年代といまとでは「実用性」としての面が少し違っていて、昨今のクルマは全体的にボディサイズが以前よりも大きくなっているため、車内に積載できる荷物の量も多少増えており、わざわざルーフキャリアに載せなくても荷物は載るというケースも多いのではないでしょうか。
またソロキャンプを楽しむ人の割合も多いなど、キャンプブームとはいっても、昔とは必要とする装備の量が違う、ということもあるかも知れません。実用性という面で以前よりは必要でなくなったため、昔よりもリヤラダーやルーフキャリアを装備するクルマが減っている、ということなのだと思います。
余談ですが、キャンピングカーのリヤラダーは、屋根の上を掃除するためにあるそう。ただ、屋根の上に登ってしまうのは超危険ですし、屋根は簡単に凹みますのでので、掃除をする際は屋根の上には上がらずに洗うことをお薦めします。
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