ニューモデルが話題になることは多いが、実は地味ながらも地道にコツコツと改良を続けるクルマも多くある。
登場から10年しても細かな改良を重ね、ホームランを打たなくても細かくヒットを打ち続けるクルマに焦点を当ててみました。
コスパの鬼、渡辺陽一郎氏に「地道だけど小改良を続けるいいクルマ」を聞いてみました。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
■中高年の星?? トヨタアリオンは希少な5ナンバーセダン
アリオンはミドルサイズのセダンで、プレミオの姉妹車になる。現行型が2007年に発売された時は、従来型と同じく、アリオンはプレミオに比べてボディが短かった。
45mmの差を付けている。アリオンはカリーナ、プレミオはコロナの後継車種になるため、プレミオを扱うトヨペット店が、アリオンよりも上級に位置付けることを希望したからだ。
ところが2016年のマイナーチェンジでは、両車の共通化が進んだ。アリオンがボディを拡大してプレミオに近い形状になった。
プレミオにはカラードサイドプロテクションモールが装着され、依然として差は残るが、改良前ほどではない。
アリオンの存在感が強まっている。開発の合理化が、差別化を求める販売会社のニーズよりも優先された。
この時には緊急自動ブレーキのトヨタセーフティセンスも装着されて安全性を高めたが、検知できるのは車両だけで歩行者は対象外になる。
今でもこの状況は変わっていないが、アリオンとプレミオは貴重な5ナンバーサイズのセダンだ。積極的に改良して欲しい。
■マツダアテンザは基本骨格に手を入れて剛性アップ
2012年に発売されたマツダCX-5は、2017年に現行型へフルモデルチェンジされた。しかし同じ年に発売されたセダン&ワゴンのアテンザは、世界的に販売が低調なこともあり、フルモデルチェンジを見送った。
その代わり2018年に、外観の変更は地味ながら、中身の濃いマイナーチェンジを実施している。
エンジンはクリーンディーゼルターボ、2Lと2.5Lのガソリンともに、CX-5やCX-8と同様の改良を受けた。
特に人気の高いディーゼルは、実用回転域の駆動力が高まり、静粛性や回転の滑らかさも向上している。
プラットフォームは、基本骨格の剛性を高めるなどの改良を行い、サスペンションの設定も見直した。
さらにタイヤを新開発している。フルモデルチェンジを行っても、タイヤは従来型と同じタイプを使うことがあるから、マイナーチェンジとしては規模の大きな改良であった。ステアリングの支持剛性も高めた。
このほかインパネの形状も大幅に変えて質感を向上させている。インパネの内部には、各種のメカニズムや空調ダクトなどがギッシリと収まるから、デザイン変更は容易ではない。
フルモデルチェンジを見送っただけあって、かなり力を入れて改良を施した。
■レクサスCTは入門レクサスとして進化を続ける
CTはレクサスに属する最小サイズの5ドアハッチバックで、2011年に発売された。エンジンはプリウスと同じ1.8Lのハイブリッドを搭載する。
ノーマルタイプのエンジンは設定されていない。
プラットフォームは先代プリウスやレクサスHSと基本的に共通で、設計の古さが目立つ。
そこで2014年に、ほかのレクサス車と同じく、フロントマスクをスピンドルグリルと呼ばれる鋭角的な形状に改めた。
2017年には、緊急自動ブレーキを作動できるレクサスセーフティシステムプラスを標準装着した。
歩行者も含めて緊急自動ブレーキを作動させ、車間距離を維持しながら追従走行できるレーダークルーズコントロールも備わる。
内装ではカーナビのモニター画面を10.3インチに拡大した。マイナーチェンジながら相応の進化を見せて、発売から8年を経過するものの、さほど古さを意識させない。
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