2023年12月20日、ダイハツ工業は会見を開き、認証検査試験の不正関連調査を依頼した第三者委員会からの報告書を公開、国土交通省と経済産業省へ今後の対応と併せて報告した、と発表しました。
報告書によると、不正は1989年に発売されたアプローズから行われており、新たに25の試験項目において174個の不正行為があったことが判明。トヨタ、マツダ、スバルへOEM提供した車種含めて64車種・3エンジンの製造で、なんらかの不正が行われていたとのこと。
本稿では、調査を担当した第三者委員会およびその後に実施されたダイハツ、トヨタ合同記者会見に参加した担当編集者が、現時点で「最も注意すべき情報」と「最も大事な話」を質疑応答にて確認したので、お伝えします。
文/ベストカーWeb編集部、画像/ダイハツ、会見スクリーンショット
■今回発表された「不正」は「見つかったぶん」だけ
今回、ダイハツ工業が第三者委員会へ依頼し調査、公開した報告書によると、ダイハツ工業は、新型車の認証検査試験において、およそ34年間にわたって25の試験項目にて174個の不正行為があったことがわかった。不正行為が確認された車種は、すでに生産を終了したものも含め、またトヨタ、スバル、マツダへのOEM提供車種も含めて、64車種・3エンジン(生産・開発中および生産終了車種の合計)におよぶ。
【参考記事】ダイハツ(トヨタ、スバル、マツダ向けOEM含む)不正があった車種リストと本件の問い合わせ先
【ダイハツ認証試験不正会見(第三者委員会編)質疑応答】
弊誌編集部「日本には8つの自動車メーカーがあります。(今回の不正の原因のひとつだと挙げられた)認証試験が厳しいのも、開発スケジュールがタイトなのも、どのメーカーも条件は同じですよね。なぜ今回のような大規模な不正が、ダイハツで起こったのでしょうか。調査の過程で、ダイハツ固有の原因について心当たりはありましたか?」
第三者委員会「通常の自動車メーカーであれば、現地現物主義が浸透していると考えられます。管理職や経営陣が実際に製造現場を回り、成果物を手に取って、製造物の出来具合を確認します。今回調査していて、【そういう意識】がダイハツには薄いように感じました。そうした【現場】への関心の薄さが、本件の原因のひとつにあるように感じています。」
編集部「第三者調査委員会の調査報告書を見ると、今回不正が見つかった車種が【まばら】に感じました。34年前の1989年に発表されたアプローズから、1990年代、2000年代初頭には不正車種があまり見当たらず、2010年代からまた増えています。一般的に考えると、こうした不正は、属人的な理由であれば【原因となった人が担当した車種全部】になるだろうし、企業風土が原因であれば【最初に判明した車種から連続して何年も…】となるのではないでしょうか。なぜこんな飛び飛びで不正が見つかっているか、理由に心当たりはありますか?」
第三者委員会「今回、担当者へのヒアリングという調査方法を実施しました。今回発表された車種は、我々が発見し、調査したものに限るということです。」
編集部「それはつまり、今回発表された不正車種は、見つかったものだけで、実際にはもっとたくさん不正があった可能性がある、ということでしょうか?」
第三者委員会「はい、可能性としては、ある、ということです。我々の調査には限界があり、今回公表された不正はあくまで我々が見つけられたものだけなので。」
今回発表された「不正が行われた車種」は、ダイハツの現行車種全車であり、生産終了車も直近のものほとんどが含まれる。となると、今回発表された「不正があった車種」は氷山の一角である可能性もある、ということ。ダイハツによると、抜本的な対策を実施するため、トヨタおよび第三者機関の協力も得て、今後徹底的で抜本的な調査と再発防止策を進めるとのこと。ぜひ全容を明らかにして、「膿」を出しきってほしい。
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