日本は長きにわたり280馬力のメーカー自主規制なるものがあったため、制限のなかったトルク偏重型のエンジンになったり、国政的競争力が薄れたなどの弊害はあったが、パワーに頼らないクルマ作りができたという利点もある。
しかし、現在はハイパワー車が百花繚乱で、しかも手軽に運転できる。
現在日本で新車で購入できる500馬力オーバーのクルマは以下のとおりにいっぱいある。
【日本で新車で購入できる500馬力オーバーカー】
【日本車】日産:GT-R、ホンダ:NSX【ドイツ車】アウディ:R8、BMW:850iほか8車種、メルセデスベンツ:S600ほか19車種、ポルシェ:カイエンターボほか1車種【イギリス車】ランドローバー:レンジローバー、ジャガー:XJほか3車種、ロールスロイス:ゴーストほか3車種、ベントレー:コンチネンタルGTほか4車種アストンマーチン:V12ヴァンテージSほか2車種【イタリア車】アルファロメオ:ジュリアほか1車種、フェラーリ:488GTBほか4車種、マセラティ:クワトロポルテほか1車種、ランボルギーニ:アヴェンタドールSクーペほか4車種【アメリカ車】キャデラック:CTS-V、シボレー:コルベット
最多がドイツ車で32車種、イギリス車が17車種、イタリア車が14車種、日本車、アメリカ車がそれぞれ2車種の合計67車種(グレードは除く)にもなる。
このハイパワー車がイージーかつ安全に走れるようになった背景には技術の進歩が挙げられるのは間違いないが、どんな技術がそれを可能にしたのか。また、時代背景などによる変化はあるのかを岡本幸一郎氏が考察する。
文:岡本幸一郎/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、AUDI、BUGATTI、FERRARI、LAMBORGHINI、McLAREN
エンジンだけが先走っていたハイパワー車が多かった
クルマに速さを求めるのは、人間の本能的な欲求に違いない。
それはメーカーにとっても同じこと。
ライバルよりも速いクルマを作ってギャフンといわせたい。より速いクルマを作るべくいそしんできた。
アメ車はオイルショック前すでに300馬力超のクルマがゴロゴロしていたし、1970年代後半のスーパーカーブームもしかり。
逆にいうと、出力の高さに対して税負担を大きくしたフランス車が国際競争力を失い、早々に北米市場から撤退せざるをえなくなったあたりにも、そのことは象徴される。
クルマというものはテクノロジーのカタマリだが、そんなわけでかつてはエンジンだけがブッチギリで先走っていた感がある。
今思えばシャシーがぜんぜんついてきていないクルマが大半だった。
1980年代にターボだらけになった日本車だって、まさしくそうだったと思うし、筆者は件の昔のアメ車やスーパーカーには乗ったことはないが、実は事情は似たようなものだったのではないかと想像される。
パワーが高いほうがエライという価値観はもちろん、「乗り手を選ぶクルマ」を乗りこなせるのが偉いという価値観もあった。
しかし、それをなんとかするのもまた技術の進化だ。
時間の経過とともにパワーだけが突出したクルマは減り、パワーがあって乗りやすい方向に進化してきた。
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