【GT-R、フェラーリ…】500馬力超の車がイージーかつ安全に走れるようになった理由

どんな電子デバイスが効果的だったのか?

 そもそも免許を持っていれば、100馬力だろうと800馬力だろうと、どんなクルマでも公道で運転することが許される。

 いかに安全に走れるようにするか、操縦安定性を確保するか。誰にでも乗れるようにしておくのはメーカーの責任でもある。

 そのためにまず出てきたのが、トラクションコントロールシステムだ。

日本車で初めてトラクションコントロールを搭載したのはトヨタクラウンロイヤルサルーンGで1987年にデビュー。これは大きな一歩だった

 パワーが強力すぎてよろしくないことが起こるのなら、そのパワーを抑えてやればよいだけの話。

 状況によってパワーを絞り込めば、タイヤの空転を抑えることができて、パワーを原因とする挙動の乱れは抑えられる。

 モータースポーツでは、ドライバーの技量をカバーしてしまうため、レースとしてどうなのかという話になり、F1でも禁止されたりしているが、それだけ有用なものということで、空転するかどうかギリギリまで大きな駆動力をタイヤに与えることができる。

 これが一番大きな進化といえる。

 市販車については、これをABSや横滑り防止装置と組み合わせることで、より高い操縦安定性を実現している。

ホンダNSXは3.5L、V6ツインターボに3基のモーターを組み合わせシステム馬力は581馬力だが、スポーツハイブリッドSH-AWDに電子デバイスを組み合わせ誰もが安心・安全に高性能を楽しめる新世代スポーツカーとして仕上げられている

古くから着目されていたAWD化

 もうひとつの流れがAWD化だ。

 ハイパワーを2輪ではなく4輪に分散して路面に伝えることのできるAWDがクルマを速く走らせるために有利なことは早くからわかっていた。

 ところが昔は有用なセンターデフが存在せず、デメリットのほうが多いため敬遠されていた。

市販4WDの先鞭をつけたアウディクワトロは1980年に欧州で販売を開始。このクルマの登場を機にラリーは超ハイパワー化しグループBマシンが席巻。しかし行き過ぎたハイパワー化はスペシャリストをしても運転しづらく危険で、重大事故が多発して終焉(1986年)

 そんな中、まだトラクションコントロールがない時代に、その課題を克服して高いパフォーマンスを見せつけたのが、アウディのクワトロだ。

 さらにはポルシェ959やスカイラインGT-Rも、前輪にトルクを可変配分してハンドリングとトラクションを両立させることに成功した。

 やがて、RRという独特のレイアウトによるバランスの悪さに手を焼いたポルシェ911や、リアミッドに強大なV12やV10を積んだランボルギーニも、AWD化によりそれぞれ問題の克服を試みた。

スーパースポーツでハイパワーの代表的存在のランボルギーニは1993年にディアブロにAWDのVTを追加。それ以降ランボ=AWDスポーツのイメージが定着

 ただし、AWD化すると重量が増すため、ポルシェやランボルギーニも走り系モデルとして2WD車を据えている。

 最近では、BMWのMやAMGもクワトロのように「xDrive」や「4MATIC」をパフォーマンスを象徴するものとして訴求するようになってきており、実際に採用車種も増えつつある。

早くから電子制御4WDを開発していた三菱は、ランエボVIIではAYCとACDの統合制御により誰もがハイスピードかつ安全にコーナリングできるようにした

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