2024年のEV販売台数躍進のカギを握る2024年度のCEV補助金が発表された。2024年度は1291億円に大幅増となるいっぽう、評価項目が厳しくなり、補助金が大幅に減額になるクルマも出てきた。はたしてどんな厳しい中身なのか、見ていきたい。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部
■かなり厳しい評価項目、EV普及に向けたメーカーほど得点が高い
経済産業省は、2024年3月19日、2024年度(2024年4月1日以降)のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)を発表した。
EV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)を対象としたもので、補助金額は昨年度の900億円から大幅に増額され、2023年度の補正予算で1291億円を計上。4月1日以降に登録・届け出した車両から適用される。
これとは別に、事業者向けの充電・充填インフラ等導入促進補助金として400億円の補正予算が盛り込まれた。
補助金上限額は最大85万円とし、最低額は12万円と73万円の差をつけた。CEV補助金上限額は、EVが85万円、軽EVが55万円、PHEVが55万円、FCEV(燃料電池車)が255万円。
2023年度までは充電1回あたりの航続距離など車両性能と、EV自体に災害時に充電設備としての機能があることを要件に37万~85万円だった。
2024年度は、充電器の設置や自社の整備工場&提携工場の拠点数、整備する人材の育成といったEVの普及に向けたメーカー側の取り組みを促すため、新たに評価項目と配点の評価基準を設けて、その合計点から算出。この新たな評価基準により、補助金の差は12万~85万円と広がった。
ちなみにCEV補助金を受けた車両は原則4年間の保有義務があり、新車購入時が対象。また各地方自治体独自の補助金制度も受け取ることもできる(東京都は個人対象で45万円)。
経済産業省が要件とした評価項目は以下の7つ。新しい評価基準は、車種ごと・企業ごとの取組を総合評価し、各車種の点数を算出。その点数に応じて、複数段階の補助額を適用した。
■評価項目の配点
1/航続距離、電費などの車両性能(車種ごと)=40
2/充電インフラ整備(企業ごと)=40
3/整備の体制/質の確保(車種ごと)・(企業ごと)=40
4/整備人材の育成(企業ごと)=20
5/車両のサイバーセキュリティへの対応(車種ごと)=20
6/CO2排出削減なそライフサイクル全体での持続可能性の確保(企業ごと)=20
7/自動車の活用を通じた他分野への貢献(車種ごと)・(企業ごと)=20
※満点は200点
各項目の配点は最大200点。EV、軽EV、PHEV、FCVそれぞれ得点に応じて補助金額が段階的に決められている。EVは、130点以上が補助最高額となる85万円。100〜129点は65万円、85~99点は45万円、70~84点は35万円、55~69点は25万円、54点以下は15万円と6段階に分けている。
さらに販売価格が840万円以上の車両は支給額を2割差し引く。130点以上であっても85万円ではなく68万円となる。高額なほど補助金額が低いという、輸入車には厳しいCEV補助金制度となった。
上限額の85万円となったのは、テスラモデル3 AWD ロングレンジ(他グレードは65万円)、トヨタbz4X全グレード、レクサスUX300e全グレード、レクサスRZ300eバージョンⅬ、レクサスRZ450eバージョンⅬ、日産アリア全グレード、日産リーフ全グレードなど、トヨタ車、レクサス車、日産車が占めているのが目立つ。
トヨタとスバルの共同開発車であるBEVのトヨタbz4Xとスバルソルテラの補助金額に注目したい。bz4Xは85万円なのに対し、ソルテラは65万円と、20万円もbz4xのほうが高い。中身はほぼ同じなのに、メーカー側の取り組み方の違いで、これだけ差が付いてしまった、ということになる。
この点について経産省次世代自動車振興センターに聞いてみたが「車種ごとだけでなく、企業ごとの評価項目の合計点数の違いが、補助金額の差に出ています。充電インフラの整備、ライフサイクル全体でのCO2排出削減などEVの普及に向けたメーカーの取り組み状況が反映されています」。
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