歴代ランエボモデルのなかでも屈指のコストパフォーマンスを誇るのが第3世代モデルトップバッターのランサーエボリューションVIIだ。なぜ価格設定を割安にできたのか、その謎に迫ってみた。
文/ベストカーWeb編集部・渡邊龍生、写真/三菱、ベストカー編集部
■サイズアップして登場したセディアベースのランエボVII
ベースモデルのランサーが6代目ランサーセディアとなったのが2000年5月。それから半年以上が経過してから2001年1月にランエボVIIが発表されたのだが、ベースが刷新されたことにより、ひと回り大きなボディのエボとなった。
ちなみにランサーセディアのボディサイズは全長4535×全幅1695×全高1430mm、ホイールベース2600mm。ちょうど1987年登場の兄貴分、6代目ギャランのボディサイズである全長4530×全幅1695×全高1440mm、ホイールベース2600mmとほぼ同サイズとなっていた。
ランエボVIIのボディサイズは全長4455×全幅1770×全高1450mm、ホイールベース2625mm。第2世代最後のエボVIトミーマキネンエディションが全長4350×全幅1770×全高1415mm、ホイールベース2510mmだったことを思えばそのサイズアップがわかる。
車重もGSR同士で比較すると、エボVIが1360kgだったのに対し、エボVIIでは1400kgに増加している。
伝統の直4DOHCターボ、4G63ターボは最高出力280psは変わらなかったものの、最大トルクはエボVITMEまでの38.0kgmから1kgmアップの39.0kgmに。
■前後輪の差動制限を行う電子制御デバイス「ACD」採用
エクステリアはフロントボンネットのエアスクープは設置されていたものの、起伏のないスマートな形状になり、個人的に第2世代のエボV~VITMEまでよりも迫力が薄くなった印象をおぼえた。その分、洗練されたともいえるが。
エボVIIの新たな技術としては電子制御可変多板クラッチ機構の「アクティブセンターディファレンシャル」(ACD)を歴代エボでは初採用。道路のコンディション別に「ターマック」(舗装路)、「グラベル」(未舗装路)、「スノー」(雪道)の3モードを車内にあるスイッチで切り替え、センターデフをコントロールすることができる。
パーキングブレーキ作動時に差動制限をフリーにすることも可能になり、ラリーやジムカーナといった競技での急旋回が可能になったのも特筆ポイント。さらにギア比がエボVIより1速がローギアード化、5速ではハイギアード化が図られている。
やはり、エボVII最大の注目点は価格設定だ。GSRで当時299万円というのは進化度を考えれば破格ともいえるだろう。なぜなら前モデルのエボVとエボVIのGSRが324万8000円、エボVITMEが327万8000円だったからだ(GSR比)。
エボVIIの299万円は第2世代エボ最初のモデルであるエボIVの299万8000円に近い。進化を重ねるごとに価格もアップしてきた歴代エボのなかで唯一、「値下げ」を敢行したのがエボVIIだったのだ。
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