「事故を起こそう」と考えながらクルマを運転している人はまずいない。しかし無意識のうちに『事故を誘発』するような運転をしてしまっているケースは、残念ながらままある。
煽り運転のような『意識的な』危険運転は論外だが、むしろ気遣いのつもりで危険を誘発してしまっているケースも少なくない。
これから帰省シーズン。悲しい事故は一つでも防ぎたい。
事故を誘発してしまいそうな「気遣い」のケースを7つ、挙げてみた。
いずれのケースも「迷惑をかけられた側の視点」で書かれているが、ぜひともここは、自分が「迷惑をかける側になっていないだろうか」という視点で読み進めて貰えれば嬉しい。
※本稿は2019年6月のものです
文:ベストカー編集部/写真:Adobe Stock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年7月26日号
【CASE 01】 前走車が左折のウインカーを表示し減速。右側からスッと前に出ようとしたら前走車が右にハンドルを切ったため衝突しそうになった
前走車が細い路地への左折のために一旦右にハンドルを切って曲がろうとしたため起きた事例(もっとも最近は本当に延々左折しなかったり、まさかの右折を繰り出す人もいるけど…)。
前走車の左ウインカーが表示されたなら、路肩に寄って停止するか、あるいはその先で左折すると思うのが当然だ。さらに左に寄る動きをしたなら、後続車は右側からスッと追い抜くことを考えるのが普通。
大型トラックでもないかぎり、一般的な道路で頭を逆振りして曲がらなければならないような状況などまずない。
普通に速度を落として、左側の路肩寄りを走行する自転車や歩行者を確認してゆっくりとハンドルを切ればちゃんと曲がれるのに、いつのまにかそんなクセが身についてしまったドライバーは多い(たぶんここには、一度逆に振ることで巻き込みしないように視界が取りやすいという「気遣い」があったりするんだろうが、それはやってはいけない)。
【CASE 02】 後方から緊走中の救急車が接近。前のクルマが突如ブレーキをかけ、道の「ど真ん中」で停車した。
いやいや、今、この道路淡々と流れているでしょう……しかも片側一車線でしょう……そんでもって対向車線はそこそこの交通量で渋滞気味って状況でしょう……?
これ、最近多いパターン。
後方から救急車や消防車がサイレン鳴らして接近してくると、周りの状況にかまわずとにかく止まってしまうクルマ。
即座に止まって道を譲るのではなく、「信号待ちなどの際にはいつでも左によけて緊急車両をスムーズに追い抜かせるための準備する」のが正解。結局逆に道を塞ぐことになってしまったのでは本末転倒だ。
以前話を聞いた消防士は、「緊走中は先を急ぎはするけれど、無理をしてまで前に出ることはしないし、絶対に事故は起こしてはならない。
よけてくれるのはありがたいのだが、無理してヘンな動きをする必要はない」とのことだ。
【CASE 03】 横断歩道で歩行者がいたため一時停止したところ、対向車が止まらずかえって歩行者を危険な目に
道交法では明確に「信号のない横断歩道で歩行者が横断しようとしている時は一時停止し、歩行者を優先しなければならない」と規定されている。
つまり横断歩道前で一時停止するのは『決まり事』だ。
しかし現実的には自車が規則を守っても対向車がまったく止まらず、結局歩行者は道路を横断できずにいる……、ということも多い。
以前、自車がこの状況で停止をしたところ、後続車が無理な追い越しをかけて、あわや横断歩道を渡る小学生を……という状況もあった。
次ページは : 【CASE 04】 交差点で前が詰まっていることもあり、対向の右折車を先に行かせようと合図をしたところ、路肩をすり抜けてきた直進バイクと衝突
コメント
コメントの使い方