日産がそうアナウンスしているわけではないが、R35GT-Rの最終モデルになると言われている「2020年モデル」。
そのGT-R 2020年モデルの持つポテンシャルを、歴代のGT-R4台(R32、33、34、35NISMO)を所有するレーシングドライバー飯田章氏がすべて引き出しインプレッション。
あいにくのウェット路面という条件のなか、プロドライバー、そして同時に大のGT-R好きでもある氏は最新のGT-Rをどう見るのだろうか?
〈GT-R2020年モデル価格〉
GT-Rブラックエディション…1253万9880円
GT-Rプレミアムエディション…1210万5720円
GT-Rピュアエディション…1063万1520円
※すべて税込み
※本稿は2019年7月のものです
試乗・文:飯田 章/撮影:平野学
初出:『ベストカー』 2019年8月10日号
■実は不安だった? 2020年モデル
実は、2018年モデル(2017年11月登場)があまりよくなくて、GT-Rはどうなっちゃうんだろう? と心配していたんです。
でも、今回2020年モデルに乗って安心しました。凄くよくなっています。
2017年モデル(2016年7月登場)で乗り心地をよくしたんですが、2018年モデルではその反動なのか、極端にスポーティな足になっていたんです。
この2020年モデルではそのズレを修正して、中間地点のベストなところに仕上げているという感じですね。
足がしなやかに動くし、6速DCTもスムーズになって、騒音や振動がほとんど感じられないくらいになっています。まさに正常進化。
2018年モデルの尖った感じが好きな人もいるでしょうが、普段の足として使いたい人にとっては2020年モデルのほうが絶対にいい。
幅広い層が楽しめるGT-Rになったように思います。
■最後を飾るのにふさわしい仕上がり
誤解しないでほしいのは、単に足が柔らかくなったわけではないこと。
今日はウェット路面だったんですが、走り出した瞬間から荒れた路面でのボディの収まりのよさを感じ、「これなら雨でもコントロールできる」と自信を持つことができました。
実際、攻めた走りをしても、怖さを感じることなく思いどおりに動かせましたね。
エンジン(V6、3.8Lツインターボ)は570ps/65.0kgmのスペックには変更なしですが、タービンにNISMOの技術を入れたことでレスポンスが明らかに向上していて、欲しい時に欲しいトルクが得られるようになっています。
だから運転がしやすい。また、サスペンションはヨーの発生を3%向上させたと説明されていますが、その効果も確実に伝わってきますね。
3%の違いなんてわかるの? と思われるかもしれませんが、もともと高いレベルからの3%の性能向上はけっこう効いてくるもの。
GT-Rの以前のモデルに乗り慣れている人なら、その違いはハッキリわかるのではないでしょうか。
路面からのインフォメーションとエンジン、サスペンションのレスポンスが向上しているのに、乗り心地がよくなり、クルマ全体の上質感もかなり上がっています。
ちょっとヘンな言い方かもしれませんが、デートカーにも湾岸族にも使えるクルマという感じですね(笑)。
R35GT-Rはこの2020年モデルが最後と言われていますが、最後を飾るのにふさわしい仕上がりになったと思います。
凄く乗りやすく、それでいて限界性能も確実に上がっている。「熟成極まった」という感じですね。
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