最近の気になるニュースから注目の自動車関連記事をピックアップし、自動車評論家の片岡英明氏とともに分析し、深掘りしていくこの企画。ここでは、販売数の伸びが鈍化し、転機を迎えた北米でのBEV販売についてお伝えする。
※本稿は2024年4月のものです
文:片岡英明・ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年5月10日号
■北米のBEV販売が大きな岐路に
環境規制などの要因により、北米で追い風を受けていたBEVの販売に鈍りが見えています。対照的に低価格かつ低燃費のハイブリッド車人気が再燃しており、北米ビッグ3は方針を見直しているそうです。
●片岡氏のコメント
BEVは新しいモノが好きな富裕層から持てはやされ、販売を伸ばしてきた。が、販売価格は高いから補助金が出ても庶民には手が出ない。
しかも量産すればコストを下げられると思っていたが、その目論見も外れてしまったんだよ。トランプ前大統領は前々からBEVに否定的で、ビッグ3が主導権を握る強いアメリカを望んでいる。
また、BEVは生産の過程でCO2排出量が多いから、ライフサイクルで考え、トヨタのようにマルチパスウェイ戦略を支持する人も増えてきた。BEVが普及するためには、電池などの技術革新も急務だ。先行き不透明だからBEVを冷ややかな目で見る人が多くなったのだろう。
もちろん、根底にあるのはBEVの分野で大きな伸びを見せている中国が面白くないのだ。
「マジトラ」(もしトランプが大統領に再選されたら、という意味の造語『もしトラ』が、マジで同氏が大統領に再選されたらという意味合いに変わった造語)になったら、しばらくはハイブリッド車の天下になるし、EVを認めるにしてもアメリカ製じゃないと難癖をつけられ、蚊帳の外に置かれるだろう。
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