ダイハツタント、スズキスペーシア、そしてホンダのN-BOXといった軽スーパーハイトワゴンのヒットを受けて小型車で挑戦したのが、スズキソリオだった。
現在新車で販売されているソリオは2015年に登場し、リアにスライドドアを採用したモデルとしては2代目となる。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する新車販売台数において、最新の2019年7月でも3074台を販売し、常にベスト20圏内に入っていてスマッシュヒットとなっているモデルなのだ。
ニッチな市場と思われていたコンパクトハイトワゴンだが、実は安定した販売台数が見込める市場であることがわかった。
その市場へ、満を持して導入されたのが2016年11月に登場したトヨタルーミー/タンクだ。ルーミー/タンクはダイハツが開発したトールのOEM供給車で、スバルジャスティの兄弟車となる。
しかし、トヨタの圧倒的な販売網により、2019年7月の新車販売台数ではルーミーが9477台で9位、タンクが7521台で13位と販売台数上位の常連となっている。
ダイハツから供給を受けているモデルにも関わらず、本家以上の販売台数を記録する手堅いヒット車、ルーミー/タンクの中古車事情について調べてみる。
文:萩原文博/写真:トヨタ、ダイハツ、スズキ、ベストカー編集部
ルーミー/タンクとはどういうクルマ?
2016年11月に登場したルーミー/タンクはそれぞれ標準車とカスタムを設定し、ベース車であるトールより多い合計4種類のモデルバリエーションを用意するのが特徴だ。
搭載するエンジンは最高出力69ps、差大トルク92Nmを発生する1L直列3気筒DOHCと最高出力98ps、最大トルク140Nmを発生する1L直列3気筒DOHCターボの2種類。
組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、JC08モード燃費は21.8~24.8km/Lを実現。駆動方式は2WD(FF)を中心に自然吸気エンジンのみ4WDを用意する。
2016年11月の発売以降、一部改良は2018年11月に1度行われ、搭載されている運転支援システムが従来のスマートアシストIIからステレオカメラ方式を採用し、衝突回避支援ブレーキシステムに歩行者検知機能の追加された。
また、オートハイビーム機能が加わった「スマートアシストIII」にアップデートが行われている。同時にボディカラーの変更やグレードの統廃合が行われている。
中古車市場はどうなっているのか?
それでは、ルーミー/タンクの中古車事情に迫ってみよう。現在ルーミーの中古車の流通台数は約540台、タンクは約480台と新車の販売台数どおりルーミーが多くなっているのは予想どおり。
しかし、想像と大きく違っていたのが平均価格の推移だ。ルーミーの平均価格は3カ月前が約158万円、今月が約157万円と横這いに近い動きとなっている。
一方、タンクは3カ月前が約159万円とルーミーとほぼ同じ水準だったのだが、今月は約151万円まで値落ちが進んでいる。
流通台数は両車ともに増加傾向と同じながら、中古車の平均走行距離はルーミーの約8000kmに対して、タンクが約1.1万kmと約3000km多いことが価格差の要因となって表れている。
続いては、グレードの分布を見てみる。ルーミーでは最上級グレードのカスタムG-Tが最も多く、続いてカスタムG “S”、カスタムGとベスト3はカスタム系が占めている。
一方、タンクは標準車のG“S”が多く、僅差でカスタムG-T、カスタムG “S”続いている。ルーミー/タンクの中古車の平均価格の違いは走行距離とともに、流通しているグレード分布にも影響されていることがわかった。
この結果を見てみると、ルーミーは流通台数が多いカスタムが狙い目で、タンクは標準系が狙いということが見えてくる。
ルーミーで流通台数が最も多い1.0G-Tの中古車の価格帯は修復歴ありを除くと約135万~約234.7万円。
そして、タンクで最も流通台数が多い1.0G“Sの価格帯は”修復歴ありの中古車を除くと約114.2万~約188万円となっており、予算150万円あれば、ほとんどのグレードで手が届くようになっている。
しかし、さすが人気車だけに100万円以下の修復歴なし物件はそれほど多くなっていないのが特徴だ。できれば運転支援システムがスマートアシストIIIにアップデートされたモデルが欲しいところだが、そういったモデルは新車価格と変わらない価格となってしまうので、スマートアシストII搭載車が狙い目となる。
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