ビジネスカーとしてすでに不動の地位を得たと言っても過言ではないプロボックス。デビューは2002年7月ということで、すでに20年以上が経過した長長寿モデルとなっているが、未だに一線級の人気を維持している。そんなプロボックスの前身と言えるのがカローラバン(と兄弟車のスプリンターバン)で、こちらもプロボックス登場までは圧倒的なシェアを誇っていたのだ。
文:小鮒康一/写真:トヨタ
■そもそもの成り立ちが大きく異なるカローラバンとプロボックス
カローラバンの歴史は古く、初代モデルは1967年3月に登場している。これは1966年11月に2ドアセダンとして登場した初代カローラの初の派生車種であり(同時に4ドアセダンも追加)、2002年7月にプロボックスが登場するまで、35年にも渡る長きにわたって販売されてきた。
ただカローラバンはあくまでカローラの派生車種として誕生しているのに対し、プロボックスは初めから商用車として使われること前提として開発されてきたという大きな違いがある。
もちろんカローラも代を重ねる毎にバンとして使われることも視野に入れてベース車を開発していたとは思うが、専用開発されたプロボックスに分があったことは明白だ(逆にプロボックスにもワゴンモデルが存在していたが、モデル途中で消滅している)。
■より仕事用に特化しているプロボックス
プロボックスのベースとなったのはヴィッツ系のプラットホームだったが、リアはバンとしての荷室容量を確保するためにショックアブソーバーを後傾させた専用のものとし、リアサスペンションも荷物を積むことを前提とした専用開発のものがおごられているのだ。
またボディ形状も荷室空間を最大限まで活用できるように角ばったものとなっており、丸みを帯びたリアゲートを持っていたカローラバンとは全く異なるものとなっている。
インテリアもビジネスカーとしてファイルやノートパソコンも収納可能な大型ドアポケットや格納式テーブル、カードホルダーやペンホルダーなど、カローラと共有するインテリアを持っていたカローラバン時代には実現できなかった実用的な形状をもっているのも特徴だ。
■より使いやすさに磨きがかかった
そして2014年8月には車両型式が変わり、フルモデルチェンジに相当するビッグマイナーチェンジを実施(トヨタとしてはマイナーチェンジ扱い)。
ここでフロント部分のプラットホームを新世代のヴィッツ系のものへ変更し、トランスミッションをCVTへと一新(MTは廃止)。
さらに、インパネなども大幅に変更して紙パック型ドリンクにも対応するドリンクホルダーや足踏み式パーキング採用により、シート間にビジネスバッグを置けるようにするなど、痒い所に手が届く改良がなされた。
さらに2018年11月にはハイブリッドモデルも追加するなど、盤石な布陣をより強固なものにし、その人気を不動のものとした。
そんなプロボックスはその驚異の耐久性から中古車が海外へ輸出されているだけでなく、近年のアウトドアブームによってワイルド系なカスタマイズのベースとしても注目されているため、今後もプロボックス人気は長く続きそうなのだ。
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