ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

 ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はメルセデスベンツ Gクラス(2018年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2019年1月26日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:平野 学

■伝統あるクルマを持てるメーカーは幸せだなと思う

メルセデスベンツ Gクラス。一見すると従来型と見分けがつかないが、ボディパネルはすべて一新。外観のパーツで同じなのはドアハンドルとスペアタイヤカバーだけ。フロントガラスも平坦なものからわずかに湾曲したものに
メルセデスベンツ Gクラス。一見すると従来型と見分けがつかないが、ボディパネルはすべて一新。外観のパーツで同じなのはドアハンドルとスペアタイヤカバーだけ。フロントガラスも平坦なものからわずかに湾曲したものに

 メルセデスベンツGクラスは、いつも気になっているクルマだ。

 武骨なSUVが大好物の私にとってど真ん中のストライク! 今回は実に39年ぶりに全面改良された新型に乗ることができた。

 ベンツはこの新型をフルモデルチェンジとはいわず、全面改良と表現している。そこにはなんらかのコダワリがあるのだろうが、実質的にはフルモデルチェンジだ。

 伝統のあるクルマのモデルチェンジは難しいものだが、さすがにうまくやっている。

 伝統のあるクルマは「変わらないで進化させる」という難しさがある。古くからのファンを納得させるモデルチェンジとはどういうものか。それを考えている時に脳裏に浮かんだのはポルシェ911ではないだろうか。

 ポルシェ911は初代のイメージを残したまま55年が経過している。

 先日ロサンゼルスショーで8代目が発表となったが、基本的なデザインや構造は変えないまま時代に合わせて進化させており、ファンをデザイン面でも内容でも裏切らないクルマになっている。

 こういう伝統のあるクルマを持てるメーカーは幸せだなと思う。

 日本ではセンチュリーとジムニーがその筆頭だろうが、ほかにも育て方を間違えなければそういう存在になれたクルマはたくさんあっただろう。

 本当はパリダカに出ていたパジェロ、特に丸目の時代のパジェロもうまく育てていれば和製Gクラス的な存在になれていたはずなのだ。

 でも、世界進出に色気を出したコーチが好き勝手な指導をしているうちにフォームを崩してしまった。今のパジェロをみていると、そんなストーリーが思い浮かんでしまう。

 つまり、時代を追いかけようとして時代に負けたということだ。

 そういうクルマは世界中にいくらでもあるが、ベンツGクラスはイメージを残したままちょっとだけ新しくするさじ加減が絶妙だ。

 スタイルもほとんど変わっていないように見えて、実はちゃんと洗練されている。このあたりは、ポルシェ911から学んだところがかなりあるのではないだろうか。

 新しいGクラスは大きく、そして高価になった。今回乗ったG550はV8、4Lツインターボエンジンで422ps/62.2kgmというもの凄い数値。

ボディサイズは全長4817mm(従来型比+53mm)、全幅1931mm(同+64mm)、全高1969mm(同-1mm)、ホイールベース2890mm(同+40mm)
ボディサイズは全長4817mm(従来型比+53mm)、全幅1931mm(同+64mm)、全高1969mm(同-1mm)、ホイールベース2890mm(同+40mm)

 それだけでも大変なものだが、AMG仕様は585ps/86.7kgmというから、もう何がなんだかわからなくなってしまう。

 サイズも大きくなって、全幅は1931mmだ。かつて、1800mmだった時代を思い出すと途方もない巨大化。私が住む世田谷の住宅地あたりは細い道が多く、こんなに大きなクルマは完全に持て余す。

 価格はG550が1562万円(2019年1月から1593万円)で、AMG仕様に至っては2076万円(2019年1月以降)だ。

 モデルチェンジすると聞き、大いに気になった時期もあったが、ここまでくると「人ごと」にしか思えない。こんな高級車でアウトドア遊びに行くのはかえって格好悪い。それならジムニーのほうがいいなと思う。

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