新年度、自動車ディーラーには、数多くの新人営業マンが入社している。実際に現場に出るのは1~2か月後になるのだが、この時期に新車の商談をするなら、現場に出始めた金の卵たちを苦労してでも見つけ出したいところだ。ディーラーでの新人接客って、実は超アタリくじなんですよ。
文:佐々木 亘/写真:AdobeStock(トップ画像=Paylessimages@AdobeStock)
■新人のペースに少しばかり付き合ってみては?
皆さん、自信たっぷり経験豊富なベテラン営業マンと、自信無さげで経験の浅い新人営業マン、ディーラーのショールームで付かれるならどっちがイイだろうか。選べるなら筆者は迷わず新人営業マンを選ぶ。
クルマの知識があり、クルマの商談も何回か経験している人なら、ぜひ新人を選んでほしい。スムーズに進み、つつがなく終わるベテランの商談も良いが、ここは新人の経験値になってみてほしいのだ。
新入社員は入社後、1か月くらいの研修期間を終え、右も左もわからずに野に放たれる。話しぶりは自信が無く、質問をしても返答に時間がかかるかもしれない。説明に誤りだってあるだろう。それでも気長に待って、ゆっくりとユーザーが新人営業マンにペースを合わせながら、商談を進めてほしいのだ。
自信無さげな接客態度が少し前向きに変わり、新人営業マンが心を開いて本気でユーザーに向き合って来た時が勝負所。その時、ベテラン営業マンではあり得ない、超お得な話が舞い降りてくるだろう。
■若手は裁量が少ない? バックには最大の裁量を持つ人が控えている!
新人営業マンに期待できないと、多くの人が思っているのが「値引き」だろう。まさしくその通りで、若ければ若い人の方が、値引きの個人裁量が低く、ガイドラインと呼ばれる一定の値引き率までしか、話ができないというのは事実だ。
しかし、ベテランが新人の倍以上の値引き額を個人裁量で出せるかと言えば、答えは「ノー」である。
大きな値引きの裁量を持っているのは、店長クラスの役職か、それ以上の役職(部長職や役員)。ベテランは、新人よりも裁量が大きいかもしれないが、店長ほどではない。
ここで考えてほしい。ベテラン営業マンはユーザーから値引きを迫られたときに、自分の裁量内で収めようと話を進める。仮に、店長へ助けを求めようものなら、「お前の力でどうにか収めろ」と突っ返されるだけだ。ユーザーにもたらされる値引き額は、自ずと小さくなってしまう。
対して新人ではどうだろう。上司は新人に「早くクルマを売ることに慣れてほしい」と思っているのだ。それはなぜか。
クルマを買ってもらうのは、結構大変な仕事である。商談だけができれば済むという話ではない。契約書を結び、必要な書類を集め、クルマを登録して納車する。この流れは、実際に何度も体験しなければ、身につかないものだ。
そのため、新人にはより多くの実戦経験を積ませたいというのが、管理職の思いである。
商談がある程度進み、値踏みのタイミングになった時、必ず新人は店長へ決裁を求めに行く。この時、店長に親心があり、クルマを売る経験を積ませてあげようと考えていれば、他と比較して大きな値引き額でも、新人営業マンのためを思い、通してくれるのだ。
筆者も営業マン経験の中で、新人時代が最も大きな値引きをしながら売っていたのを思い出す。
新人の後ろには、店舗全体の判断を任される決裁者(店長)がいることをお忘れなく。だからこそ、5月・6月に新人営業マンを捕まえられれば、良い条件が出やすい。
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