新車のベースグレードというと、どのようなイメージを持っているだろうか。「安かろう悪かろう」なイメージを持つ人も少なくないかも知れない。だが近年のベースグレードは結構熱い。そこで今回は、昔のようなひどい仕様ではなくなったベースグレードの魅力を再確認していこう!!!!
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
■法人向け? いやいや個人でも買うべきでしょ!
大々的に「法人向け」として、最廉価グレードを売っているのがプリウスだ。カタログでも最廉価Xグレードは別冊になるほど、特別扱いが徹底されていた。ただ、275万円で乗れるXグレードは、個人も買いたくなるほど魅力が詰まっている。
販売店で購入できる一つ上のGグレードとは40万円以上の価格差があり、割安感は強い。ボディカラーが2色だけでディスプレイオーディオもオプション仕様と、我慢するべきところもあるが、クルマの基本性能はさほど大きくは変わらないのだ。
さらに、納期も早いとなれば、その魅力はさらに高まる。こういうベースグレードが、最近のトヨタには多い。
先日登場したランドクルーザー250でも、同じようなグレード展開となった。現在の最廉価はディーゼル5人乗りのGXだ。車両本体価格は520万円と、最上位では700万円を大きく超えるランクル250の中では、際立って安い。
それでもランクルはランクルだし、あえて5人乗りが欲しいユーザーも多いはず。こちらも「法人向け」と銘打ってはあるが、もちろん個人でも買えるし、積極的に選んでほしいベースグレードなのだ。
■後出しするのがベースグレードに変わった?
ランクル250については、VXに載っているガソリンエンジンをベースグレードのGXに搭載すれば、さらに車両本体価格は下がるだろう。GXにガソリンエンジンを積むのは、さほど難しい話ではないはずだ。
時期を見て、1年後?あるいは2年後のマイナーチェンジとともに、最廉価グレードの後出しがある可能性は高いと筆者は思う。
後出しベースグレードはもう一つ。アルファードにも、一般個人向けにグレードが追加されるという噂がある。
これまで、サイドリフトアップチルトシート装着車、つまりは福祉車両(ウェルキャブ)にしか用意が無かったGグレードが、本年の改良時に追加されるかも、というのだ。
福祉車両としてのGグレードは、ガソリン2WDが472万円だったから、通常のGでは450万円くらいまで値段が下がってくれることを期待しよう。アルファードにも、先代のような乗りやすさ・求めやすさが戻ってくる。
最近の高価格帯車両では、モデルチェンジとともに上級グレードへ絞り込んだグレード展開が発表され、初期受注が落ち着いたころにベースグレードという選択肢を提示することが増えてきた。
これは、ベースグレードが売れないからではなく、逆に売れすぎてしまうからか。魅力度が高いものだとメーカーも認識しているから、アルファードやランクル250のような、後出しベースグレードの設定が成立しているのだろう。
■シエンタもベースグレードが豪華に! トヨタが最廉価に力を入れてきた?
5月20日に一部改良を迎えるシエンタでも、ベースグレードの改変に力を入れている。これまでオプション設定だったスマートエントリー&スタートシステムを、ベースグレードのXに標準装備した。
シエンタのベースグレードが抱える一番のネガを、今回の改良で払拭した形だ。
ベースグレードの改良や追加の流れは、今後も続きそうだ。全部付けの上級グレードよりも、余白が残るベースグレードの方が、クルマ選びは楽しくなる。
いろいろと切り詰められている昨今、余白を感じる余裕は少ないかもしれないが、楽しい新車購入の場面では、ベースグレードでカーライフの余白を楽しんでもらいたい。
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