一部報道をきっかけに盛り上がっている、「パジェロ復活」のウワサ。そんな中、北米三菱自動車が発表した5カ年事業計画「モメンタム2030」において公開されたシルエット画像に、タフ系SUVの姿が確認された。これこそが次期パジェロなのではないかと期待が高まるが、はたしてどうなのだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:MITSUBISHI
■トライトンの販売はパジェロ復活の布石か!??
三菱といえばいま、2024年2月に日本でも発売となったピックアップトラック、新型「トライトン」が話題だ。昨年タイで発表となったモデルで、車両本体価格540万円超え、乗り出し価格で600万円近くになる贅沢なクルマであるにもかかわらず、若い世代を中心に受注は好調のようだ。
今作が3代目となるトライトンは、三菱の世界戦略車。日本でも初代モデルが一時期販売されていたが、今回約12年ぶりの国内復活となった。そんなトライトンだが、今回の新型では、新開発のラダーフレームを採用し、従来型から曲げ剛性で60%、ねじり剛性で40%の強化を実現。また新開発の4N16型クリーンディーゼルを搭載し、最高出力150kW、最大トルク470Nmで実用性の高い、トルクフルな走りを楽しめる。タフで存在感のあるデザインも個性的であり、他社の本格オフローダーとはまた違った魅力を放つモデルだ。
次期パジェロはこのトライトンをベースに、先進的な装備と性能、タフでありながら都会的なデザインや高級感あふれる雰囲気で登場するとウワサされている。2019年に生産終了となったパジェロを最後に、国内市場での三菱のオフロードイメージが薄れているだけに、今回のトライトン国内復活は、パジェロ復活への布石とも捉えられる。
■新型パジェロはトライトンベースとはならないはず
ただ筆者は、次期パジェロは新型トライトンベースにはならないのではないかと考えている。その理由は、北米三菱自動車(MMNA)が2024年5月16日に発表した5か年計画「モメンタム2030」で公開された、新しい商品群と思われるシルエット画像に大型SUVのようにみえるシルエットが含まれていたことだ。
もしこれが次期パジェロであるならば、(ハイブリッド車かプラグインハイブリッド車、もしくはバッテリーEVといった)なんらかの電動車になるということであり、電動パワートレインをもたない新型トライトンがベースとなることは考えにくい。2023年発表の中期経営計画「チャレンジ2025」のなかで計画されている、トライトンの荷台に屋根を付けたPPV(ピックアップをベースとしたパッセンジャー)は、おそらく「パジェロスポーツ」と名乗るはずだ。
パジェロは本格オフローダーでありながら、オンロードでの快適な走りや高い実用性、高級感や上質な走りが魅力のモデルだ。三菱自慢の四輪駆動技術を、悪路走破のみならず、あらゆるシーンでポジティブに活用する、いわゆる三菱の技術の最先端を表現したモデルでなければならない。
いまはその役割をアウトランダーが担っているのだが、もしパジェロが復活するとしたら、単にタフなイメージのSUVをリリースするより、もっと三菱の未来やビジョンを明確に反映した高級SUV(しかも電動化が主体)となって登場してくるはずだと筆者は考えるのだ。
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