1999年10月、トヨタはMR2の後継者となるライトウェイトオープンスポーツカー、MR-Sを発売。しかし当時のライバルは言わずとも知れた名車、ロードスター。似た特徴のこの2台だが、販売当時はどのような評価を受け、そして多く販売されたのはどちらだったのか。今回は20歳ネオクラ好きアルバイターが、ベストカーが掲載した新車当時の記事をリバイバルし過去を振り返っていく。
この記事はベストカー1999年12月10日号(著者は竹平素信氏)を転載し、再編集したものです。
■誕生した瞬間からライバル!?
MR-Sのライバルといったら、言うまでもなくロードスターである。2シーターのオープン、そしてNAの1.8Lエンジンを搭載するコンパクトなスポーツカー。
ミッドシップとFRという違いはあるものの、どちらも走りを感じさせるモデル。
当然、興味津々というものだ。もっともロードスターについては、これまで本誌で何度も取り上げており、その走り、フィールに関しては充分にお伝えしてきた。
ということで早速だが、両車を比較していこう。
■斬新なMR-S! 古典的なロードスター!
両車を見比べてみると、スタイリングは明らかにMR-Sの方が斬新だしスタイリッシュでもある。パッと見ておぉ!とくるのはMR-Sだ。
ロードスターもなかなか個性的で味のあるスタイリングだが、初代とあまり変わらない見映えで、どうしても古く見える。
ではコックピットはどうだろう!? 斬新さ、派手さはないが機能的で、「落ち着いて走りに集中できる」ロードスターに対し、これまたシンプルだが随所に「遊び心」がみられるMR-Sといった具合である。
また、キャビンの広さもダンゼンMR-Sが広い。タイト感に包まれ、クルマとの一体感を強く感じさせるロードスターに対してMR-Sは解放感にあふれ、華やかなムードを感じさせる。
■大事なのはエンジンスペックでしょ!
走ってなんぼのスポーツカーだ。キモとなるのはエンジンだ。どちらも4気筒の1.8LのNAとなる。ロードスターは145ps、16.6kgm、MR-Sは140ps、17.4kgmというスペック。
数字だけを見れば両車大差なしのようだが、これが乗ると大違いなのだ。レスポンス、吹け上がりの軽さ、トップエンドの伸びのよさともにロードスターが圧倒的。
可変バルタイなどといったハイメカを使わずに、しっかリスポーツチューンされており、回して気持ちがいい。トップエンドも7500回転オーバーまでバッチリ伸びる。
一方のMR-Sはスポーツカーエンジンと呼ぶにはいささか苦しい…… ごく普通の、いわゆる実用エンジンのフィールなのだ。
低中速トルクの太さで日常域の扱いやすさはロードスター以上だが、キレの鋭さや、高回転の伸びは期待できない( 頑張って引っ張っても6700回転あたりでリミット)。
サウンドもこもった感じでイマイチ。エンジンの気持ちよさという点ではロードスターが圧勝だ。
■実際に比較しよう! ゼロヨン対決!
実際にゼロヨンテストを行うと、その差は歴然だった。ロードスターRSがマークしたベストタイムは15秒323。
「まぁこんなもんだろう」と思いつつMR-Sをスタートさせると明らかにロードスターより速い。計測器のデジタル表示は14秒806を示しているではないか。
これ、もうちょい頑張ればインテRをも凌駕するほどのタイムである。
MR-Sの速さのポイントはスタートダッシュにあった。ミッドシップならではの後輪荷重の大きさで、トラクション能力が圧倒的に高いのだ。
加えて低中速トルクの太いエンジンが功を奏し、スタートでエンジンがドロップすることなく、一気にダッシュしていくのだ。さらにロードスターよりも60kgほど軽いボディもメリットになっている。
ロードスターはスタートダッシュ時にホイールスピンを発生させやすく、ある程度車速が乗るまでに全開にできないのだ。
2速に入ってからは両車ほぼ互角の加速ぶりだが、スタートダッシュで大差がついてしまったというわけだ。MR-S、侮りがたしである。
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