トヨタが変わった理由とアキレス腱【走行性能が劇的に向上!! マジか!】

トヨタが変わった理由とアキレス腱【走行性能が劇的に向上!! マジか!】

 最近、トヨタ車が変わってきた、と感じることありませんか? 素直によくなった、と思わせてくれる車種が多くなってきました。

 例えば、C-HR(2016年)やカローラスポーツ(2018年)、RAV4(2019年)など、デザインはもちろん、乗り心地や走り、インテリアの質感など、80点主義で信頼性はあるけど、クルマ作りに遊び心がなく面白味もない、などという、かつてのトヨタ車のイメージが消えた、という意見をよく耳にします。

 さて、本当にトヨタ車は変わったのでしょうか? 具体的にどこがよくなったのでしょうか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が検証します。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部

(画像ギャラリー)トヨタ車が変わったといわれる、人気のカローラスポーツ、C-HR、RAV4、カムリほか


トヨタ車が変わったのはTNGAプラットフォームを採用してから?

豊田章男社長のリーダーシップによってトヨタ車が変わってきたのか?
豊田章男社長のリーダーシップによってトヨタ車が変わってきたのか?

 最近「トヨタ車がよくなった」といわれる。 日本自動車メーカーのなかでも指折りの「クルマ好き」として知られるトヨタ自動車代表取締役社長・豊田章男氏は「もっといいクルマを」「ワクワクしなければクルマじゃない」「楽しくなければクルマじゃない」と言い続けているが、このようにクルマ作りがよくなってきたといわれるのは、やはり豊田章男社長のリーダーシップによるところが大きいのではないか。

 具体的には2015年12月に発売された現行プリウス以降の車種を示すことが多い。ミドルサイズではC-HR(2016年12月)、カローラスポーツ(2018年6月)、RAV4(2019年4月)があり、Lサイズならカムリ(2017年7月)、クラウン(2018年6月)が該当する。

2015年12月にデビューしたプリウスは、かつての大ヒットというのは程遠い販売台数だったが、2018年12月のマイナーチェンジで息を吹き返した
2015年12月にデビューしたプリウスは、かつての大ヒットというのは程遠い販売台数だったが、2018年12月のマイナーチェンジで息を吹き返した

 2019年9月17日に発売されるカローラセダン&ツーリング(ワゴン)も、カローラスポーツに準じた走りのよさを身に付けているだろう。

 これら一連の車種は、現行プリウスから採用が開始されたTNGAの考え方に基づくプラットフォームを採用する。

 クラウンは後輪駆動車だが、TNGAの後輪駆動用のGA-Lプラットフォームを採用し、レクサスLSと同じプラットフォームを使う。

トヨタの新しいプラットフォーム、TNGA。プリウスはGA-Cプラットフォームを採用する
トヨタの新しいプラットフォーム、TNGA。プリウスはGA-Cプラットフォームを採用する

●TNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー)の主なラインアップ※GA-Bプラットフォームは2019年9月5日発表
■GA-Bプラットフォーム/次期アクア? 次期ヤリス?
■GA-Cプラットフォーム/プリウス、C-HR、レクサスUX、新型カローラセダン&ツーリング(日本仕様はGA-Cナロー版)
■GA-Kプラットフォーム/カムリ、RAV4、レクサスES
■GA-Lプラットフォーム/レクサスLS、LC、クラウン(GA-Lナロー版)ほかFRモデル
※このほか新型ハイエースには商用車バン、トラック向けのプラットフォーム

 2019年9月5日に発表されたGA-Bプラットフォームについては後述するが、設計の新しいプラットフォームと、それに基づく新しいボディにより、最近のトヨタ車は走りの性能と質を高めてきた。

 目指したのは優れた走行安定性と乗り心地の両立だ。ボディやサスペンションの取り付け剛性を高めることで、足回りを正確かつ滑らかに伸縮させる。

 それにより粗さのない乗り心地を実現させた。大きなデコボコを乗り越えると、ショックは伝えるが、突き上げ感は抑えている。

 カーブを曲がったり、車線を変える時は、操舵角に応じて車両が正確に向きを変える。そして後輪が常にしっかりと接地している。

 例えば危険を避けるために、下り坂のカーブでステアリングホイールをさらに内側へ回しながらブレーキペダルを踏む操作をしても、後輪の安定性が削がれにくい。

 急いで車線を変える時も同様だ。フラリと唐突にボディが傾く挙動に陥りにくく、挙動変化が穏やかに進む。4輪の安定性がバランスよく高まり、危険回避も確実に行える。

 大胆なエクステリアの変更、さらにはニュルブルクリンクでの開発など、クラウンに対するトヨタの力の入れようは凄かった
大胆なエクステリアの変更、さらにはニュルブルクリンクでの開発など、クラウンに対するトヨタの力の入れようは凄かった

 後輪の接地性の高さは、直進時でも修正操舵の必要が少ない手応えとしてドライバーに伝わる。カーブを曲がったり、車線を変える時でなくても、ドライバーは常にリラックスして運転できる。

 疲労を抑えることにも繋がり、安全性をさらに高められる。「この後で挙動がどのように変わるのか」という予想もしやすく、これも安心感を高める。

 以上のような安定性を確保した上で、操舵角に応じて、自然に曲がる運転感覚を実現させた。峠道を少しスポーティに走っても、旋回軌跡が外側へ膨らみにくい。ドライバーは車両との一体感を得やすく、運転が楽しく感じられる。

 ちなみにかつては予想を超える挙動変化に、楽しさを求めた時代があった。操舵すると車両がグイグイ曲がるとか、ターボであれば、アクセル操作以上にパワーが盛り上がるといった具合だ。

 この設定には玩具的な面白さはあるが、ドライバーの操作と車両挙動の間にズレが生じるから、安全運転には逆行する。長く運転すると疲れたり、飽きるのも早い。

次ページは : 走りが激変したのには理由があった

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…