昨年、2018年は三菱デリカが50周年を迎え、そして今年はフェアレディZが50周年を迎えた。
両車ともその長い歴史を讃えるキャンペーンや記念モデルの設定などで盛大に祝ってもらったのだが、そのウラでそんな記念日を迎えることのできなかったクルマたちの存在を思い出す。
これ、クルマを人間に置き換えればいかにサミシイことか。
そこで、オリンピックイヤーとなる2020年に「もし現役だったら○○周年」を迎えるモデルを紹介することにした。
※本稿は2019年8月のものです
生きざまと死にざま解説:片岡英明/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年9月10日号
■40周年未遂車│トヨタ クレスタ(1980~2001年)
●その生きざま・死にざま
1980年春に新しい販売チャンネルのビスタ店を立ち上げ、そのリーダーとして投入されたのが4ドアハードトップのクレスタだ。
2代目は優雅な4ドアセダンに生まれ変わり、マークIIやチェイサーとは違う客層に受け入れられている。
1992年に登場した4代目からはワイドボディをまとい、5代目は「気品あるプレステージセダン」を掲げた。が、販売は上向きにならず、ビスタ店も統合された2001年にヴェロッサにバトンを託し、引退の道を選んでいる。
●編集部からの鎮魂の言葉
漫画『GTO』では内山田教頭の愛車として5代目モデルが登場したが、何度も破壊されるという不幸なメに遭っていた。なぜだろう、5代目になってマークII 3兄弟のキャラ分けが明確になり、抜群におっさん臭くなってしまったからだろうか。
■30周年未遂車│三菱 GTO(1990~2001年)
●その生きざま・死にざま
スタリオンの後継として1990年に登場したフルタイム4WDの高性能スポーツクーペだ。エンジンはパワフルな3LのV型6気筒DOHCで、ツインターボも設定する。
スタイリッシュなルックスだったし、往年の名車にあやかってGTOを名乗ったことも功を奏し、最初は販売好調だった。
1993年にはフェイスリフトを行い、ヘッドライトをプロジェクターの4灯式に変えている。だが、クーペブームが去り、販売も落ち込んだので2001年に販売を終了した。
●編集部からの手向けの言葉
編集部の駐車場で少し移動させようとした時、バックに入れたつもりが6速に入り、それでもクルマがスルッと動いた時にこのクルマのクソトルクに驚かされた。できればヘッドライトは最後までリトラクタブルでいってほしかった。
■50周年未遂車│ホンダ Z(1970~1974年/1998~2002年)
●その生きざま・死にざま
初代モデルは「水中メガネ」の愛称で親しまれ、ヒット作となった。そして25年後に第2世代のホンダZが登場する。
初代モデルと違ってオーソドックスなデザインだが、メカニズムは凄い。ミドシップレイアウトを採用し、刺激的な走りを実現した。
エンジンは656㏄の直列3気筒で、ターボも用意されている。ぜいたくな4WDシステムも話題をまいた。価格も頑張ったが、難解なデザインや4WDの魅力が伝え切れず3年ほどで生産を終えている。
●編集部からの追悼の言葉
初代と2代目の間に25年近い時間の隔たりがあり、コンセプト的にも共通点はないが、2代目モデルの販売が芳しくなかったため3代目が登場することはないだろう。2代目のホンダ的&変態的なコンセプトは嫌いではないが……。
コメント
コメントの使い方