自動車部出身の若武者2人が世界を目指す!! WRCチャレンジプログラム3期生にインタビュー

自動車部出身の若武者2人が世界を目指す!! WRCチャレンジプログラム3期生にインタビュー

 勝田貴元選手に続くWRCドライバーを育成するWRCチャレンジプログラム。その3期生に選ばれ、フィンランド選手権で実戦経験を積んでいる若武者2人にどんなトレーニングをしているのか? ラリーの世界に飛び込んだ理由は? などいろいろ聞いてみた。

文:ベストカーWeb/写真:TOYOTA GAZOO Racing

■ラリー経験がなくても世界を目指す熱い気持ちを持つ二人

二人は6月からルノー・クリオ ラリー4でフィンランドの国内戦を戦い、速さを身に着けている
二人は6月からルノー・クリオ ラリー4でフィンランドの国内戦を戦い、速さを身に着けている

ベストカー(以下BC):ルノー・クリオ・ラリー4でフィンランド選手権に出場しましたが、その印象から聞かせてください。

松下拓未選手(以下松下):大学生の頃はダートラをやっていたので、ランエボなど4WDに乗っていました。ラリー車なのにFFと聞いててっきり地味なクルマかと思っていましたが、ホンモノのラリーカーといった印象でびっくりしました。

後藤正太郎選手(以下後藤):大学生の頃はシビックやインテに乗っていてFFに対しての抵抗感はありませんでしたが、剛性感があってこんなクルマがあるんだと驚きました。

BC:お二人は国内でラリーの経験はあまりなかったそうですが、なぜ3期生に選ばれたと思いますか? これからセレクションが始まる4期生を目指す人たちの参考になればと思います。

松下:ダートラやジムカーナの経験はありましたが、ラリーはまったく経験がありませんでした。ドライバーを生業にしたいと思い、応募しました。スキーをやっていたこともあって、バランス感覚があると思います。クルマの姿勢をしっかりと作り、コーナーを曲がって行くことを心がけ、うまくいったと思います。ただ、それよりもメンタルのほうを評価されたのかもしれません。

松下拓未(まつした・たくみ)1999年12月23日生まれ 兵庫県出身 大阪大学自動車部でダートトライアルやジムカーナを経験。趣味はスキーとクルマの整備。ゲン担ぎでサウナに入り、勝負メシはブルーベリーとフィンランド生活になじんだ様子。座右の銘は「人生一度きり」
松下拓未(まつした・たくみ)1999年12月23日生まれ 兵庫県出身 大阪大学自動車部でダートトライアルやジムカーナを経験。趣味はスキーとクルマの整備。ゲン担ぎでサウナに入り、勝負メシはブルーベリーとフィンランド生活になじんだ様子。座右の銘は「人生一度きり」
後藤正太郎(ごとう・しょうたろう)2002年3月31日生まれ。東京都出身 慶応義塾大学自動車部でジムカーナやダートトライアルに出場。趣味は温泉めぐりとドリフト。一人旅にはまり、勝負メシはハンバーガーと語る。座右の銘は「なんとかなる」とポジティブだ
後藤正太郎(ごとう・しょうたろう)2002年3月31日生まれ。東京都出身 慶応義塾大学自動車部でジムカーナやダートトライアルに出場。趣味は温泉めぐりとドリフト。一人旅にはまり、勝負メシはハンバーガーと語る。座右の銘は「なんとかなる」とポジティブだ

後藤:ボクもプレッシャーのある中でどのようなドライビングを披露できるか? が大事だと思います。タイムの速さも大事ですが、冷静さや前向きな姿勢が評価されたのかもしれません。

BC:トレーニングは英語だと思いますが、不安はありませんか?

松下:トップギアとかを見ていてなんとなくクルマ用語はわかっていましたが、ペースノートのコールとかは一生懸命学んでいます。

後藤:中学と高校の頃、オーストラリアにいたことがあり、会話自体は困りませんが、ペースノートのコールには慣れずに苦労しました。

■トレーナーによる肉体改造も加速中!

2023年12月にフィンランドで行われたセレクションでの走行。いきなりのGRヤリス、そして雪上だった
2023年12月にフィンランドで行われたセレクションでの走行。いきなりのGRヤリス、そして雪上だった

BC:フィンランドのトレーニングはどんな感じなのでしょう?

松下:フィンランドに来てからはペースノートづくりを学びました。ペースノートを作っては走り、また修正して走る、そんな感じです。あとフィンランドに来て数日で1000km近く全開で走る経験もさせてもらい、クルマの挙動が身体にしみ込んだと思います。

後藤:ペースノートづくりとドライビングのスキルアップはもちろんですが、そしてフィジカルを上げるためのトレーナーがついてくれ、ラリードライバーの筋肉づくりのサポートをうけています。

BC:なるほど1週間のスケジュールはどんな感じですか?

松下:例えば月曜日がフィジカルトレーニング、火曜日がペースノートづくり。水曜日、木曜日がラリーカーに乗ってドライビング、金曜日は金曜日はフィジカルトレーナーからのアドバイスに基づいた自主トレーニング、土曜日、日曜日が休日みたいな感じです。

後藤:ドライビングレッスンではインストラクターとなるミッコ・ヒルボネンさんやヨウニ・アンプヤさんといった最高のインストラクターにつきっきりで教えてもらえるのでとても実践的です。

松下:インストラクターから小さなことでもわかりやすく丁寧に教えてもらえるので、前向きな気持ちになれると思います。

後藤:フィジカルトレーニングの効果は体感していて実際に胸板が厚くなってうれしいです(笑)。

松下:ボクも疲れにくい体質になってきました。体力が落ちると集中力も落ち、ミスもするのでフィジカルトレーニングは重要なんです。

BC:ラリーの世界に飛び込むのは、とても勇気が必要だったと思いますが、実際のところどうだったのでしょう?

松下:大学時代自動車部でモータースポーツをやっていて、ラリーは未経験でしたがラリー自体に抵抗感はありませんでした。ただ、フィンランドでの生活ということで少し考えました。でも、自分の人生にけっしてマイナスにならないと考え、合格したら絶対に行こうと覚悟を決めました。

後藤:最高の環境のなか、最高のコーチに教わることができるなら、運転が上達できると確信できたので迷いはありませんでした。

BC:先輩たちとの交流はありますか?

松下:2期生の山本(雄紀)さんや小暮(ひかる)さんが近くに住んでいてアドバイスをもらっています。

後藤:スーパーの買い物とかで会ったりして、先輩たちがいると安心感があります。

BC:好きなドライバーを教えてください。

松下:進入からあっというまにクルマを横に向ける最高の技術を持つカッレ(ロバンペラ)選手に憧れます。

後藤:いつも教わっているミッコ(ヒルボネン)さんです。技術的にも尊敬しますが、やさしく自信を持つようにアドバイスをくれ、人格者で素晴らしい方だと感じています。

BC:トップドライバーになるためには何が必要だと思いますか?

松下:ペースノートをしっかり作ることと自分の力を100%出せることだと思います。コーチからの「目で見たものではなく、耳を信用しろ」というアドバイスを頭に入れて走っています。

後藤:強靭な肉体とリスクを認識する能力、失敗しないぎりぎりを攻める走りができることだと思います。人まねではなく、自分のドライビングスタイルの確立を今やるべきことだと思っています。

BC:お二人は11月21~24日のラリージャパンにあわせて帰国されると聞いています。ぜひその時にお会いしましょう。ありがとうございました。

*TGRではWRCチャレンジプログラムの4期生を募集し、8月16日に締め切った。国内で行われるセレクションの模様も今後お伝えしていく予定だ。

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