何世代も続くクルマで同じ名称が用いられるのは珍しいことではない。しかし、しばらくインターバルをおいてから突如復活する車名もある。今回はそうした“復活車名”のいきさつやその結果などを紹介しよう。
文/長谷川 敦、写真/スバル、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱、FavCars.com
【画像ギャラリー】復活したクルマはやっぱりスゴかった!?(21枚)画像ギャラリー■かつての栄光再び!? 車名が復活する理由とは?
すでに終了したと思われていた車名が復活する時、それには大きく分けてふたつのシチュエーションが考えられる。
まずは以前と同じコンセプトのモデルに同じ車名が与えられるというもの。
あとで紹介するトヨタのスープラのように、諸事情により廃止(または休止)されていた車名が同じカテゴリー(スープラの場合はFRスポーツカー)のモデルで復活するのがこのパターン。
もうひとつが、まったく新しいコンセプトや車格のクルマに以前使われていた車名を用いるという例だ。
これは車名の響きが良かったり、その車名がメーカーにとって縁起の良いものだったりするのが理由となる。
では、そうした車名復活がどのような結果になったのか、次の項から具体的な車種を例に見ていきたい。
■先代のコンセプトを継承して復活した車名
●トヨタ スープラ
トヨタのスポーティーカー・セリカの上級車種として開発され、1978年に登場したのがセリカXX(ダブルエックス)。
日本国内ではこのXXの車名が使用されたが、主な輸出先のアメリカでは「XX」が成人指定映画を指すためイメージが悪く、海外ではXXではなく「スープラ」の名称で販売された。
やがて国内でもスープラの名称が使われるようになり、スープラはXXから数えて4代目のA80型が2002年まで販売された。
そしてA80型の販売終了から17年、スープラの名称が復活することになる。
2019年に復活したスープラは、直6エンジンを搭載するFRモデルという構成が先代と同様で、ボディフォルムもかつてのスープラのイメージを継承している。
この新生スープラには、トヨタの豊田章男会長(スープラ復活時は社長)の「いつかスープラを復活させたい」という想いが込められているという。
GRスープラの名称で販売される新スープラは、トヨタの独自開発ではなくBMWとの共同開発である点など、以前のものと異なる部分はあるが、復活から5年が経過した現在でも根強い人気を保っている。
●ホンダ NSX
日本国内でF1ブームが巻き起こっていた1990年、F1で連続チャンピオンエンジンメーカーに輝いていたホンダからミドシップレイアウトのスポーツカーが発売された。
NSXと名付けられたそのモデルは、当時のホンダが持つ技術をフルに投入して開発され、軽量な車体にV6エンジンを搭載した国産スーパーカーとも呼べるスペックを誇っていた。
そんなNSXはホンダがF1活動をいったん終了してからも販売が続き、2005年まで生産されるという息の長いモデルになった。
そして初代NSXの生産終了から約10年の時を経て、NSXの名称が復活することになる。
新生NSXは、V6エンジンやミドシップレイアウトなどといった初代のコンセプトを引き継ぎながら、電動モーターを3基搭載するハイブリッドカーとして登場し、新世代のモデルであることを主張した。
そんな2代目NSXは、システム最高581psを誇るエンジンをはじめ、空力的に優れたボディや新素材の多用など、初代NSXをも上回るスーパースポーツカーだった。
このように、大いなる期待を受けて2016年に登場した新生NSXだが、あまりに豪華すぎる内容が災いしたか、販売数はそれほど伸びず、EVに注力するというメーカーの方針もあって2022年末に製造販売が終了してしまった。
初代が16年の販売期間を誇っていたことに比べると、2代目NSXの歴史は予想以上に短いものとなってしまった。
●マツダ キャロル
マツダ(当時の車名は東洋工業)が1962年にリリースした軽自動車初の4ドアセダンがキャロル。
360ccエンジンを搭載した初代キャロルは、販売当初こそ堅調なセールスを記録するものの、やがて低迷期に入り、2代目を生むことなく1970年に販売が終了した。
しかし、1989年には突如のこの車名が復活。当時マツダが展開していた販売チャンネル・オートザムの名をとったオートザムキャロルがデビューしたのだ。
オートザムキャロルも550/660ccエンジンを搭載する軽自動車であり、その後オートザムからマツダの取り扱いに変更されるものの、2024年の現在は通算8代目が走る息の長いモデルになった。
現在のマツダ キャロルはスズキ アルトのOEM車だが、キャロルの名称は健在だ。
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