自動車業界で露呈した下請け企業への不当な扱い。保管費用が高額な、製造時に使う金型を無償で保管させていたというから驚きだ。明らかに改善されるべき事案であることは間違いないが、最近公正取引委員会と中小企業庁が下請法の見直しの議論を始めた。
※本稿は2024年8月のものです
文:片岡英明、ベストカー編集部/写真:AdobeStock(トップ画像=vacancylizm@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■不当な商習慣を改める機会に!
公正取引委員会と中小企業庁は、製造時に使う金型などを無償で保管させていたことを受けて、下請法見直しの議論を始めました。この議論で、メーカーと下請け業者が抱える問題が解決されるといいですね。
●片岡氏のコメント
2023年に中企庁が調査してみたら、金型や木型などの「型」の保管費用を発注者側の半分くらいが下請け企業に押しつけていたことがわかった。特に目立ったのが自動車業界だ。保管費用がベラボーにかかる金型を、下請け業者に保管させていたのだが、その費用を下請け業者に負担させていたのである。
ちょっと前、下請け業者に対する「買いたたき」が問題になった。この金型の無償保管も下請けに対する不当な商習慣のひとつだ。現行ルールに抵触しない、グレーゾーンの慣習だが、下請けいじめであることは誰でもわかるだろう。
日本経済の立て直しは、大企業を支えている中小企業の協力がなくては実現しない。染みついた不当な商習慣にメスを入れ、経営環境を改善することが急務だよね。活発に議論して、下請け法の見直しにまで踏み込んでほしいと思う。
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