バスの燃費性能の比較対決!! 半世紀前と現在のバスでは……マジか!?

バスの燃費性能の比較対決!! 半世紀前と現在のバスでは……マジか!?

 クルマを維持する上で、直接おサイフに影響してくるのが燃費だ。それは乗用車でも大型車でも変わらないはずだが、最近のバスの燃費事情はどうなっているだろう?

文・写真:中山修一
(新旧バスと燃費にまつわる写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■半世紀以上前と今のバス車両の燃費を見比べると?

1967年式の三菱MAR470
1967年式の三菱MAR470

 大型バスやトラックの場合、車体が大きく、一度に運べる荷物や人の重さが違うのと、ヘビーデューティーな使用に耐える必要が第一の、いわば“業務用”の車であるため、普通乗用車ほどデリケートな燃費対策は想定されていない印象を抱く。

 では、現在新車で購入可能なバス車両と、半世紀以上前の1960年代に製造されていたバス車両、それぞれの時代に生きていたバスの燃費にどれくらいの差があるのか、ちょっと気になったので軽く掘り下げてみることにした。

 現在のほうが良くなっている事実だけは、調べずとも何となく察しがつく。とはいえ、1リッターあたり何キロ走ることになっているのか、具体的な数値くらいは見ておきたいと思い、まずは現行の路線/高速大型バス車両のデータをチェックした。

【現行バス車両の燃費】
(1)三菱ふそう エアロスター(全長10.5mクラス・路線車):4.4km/l
(2)いすゞエルガ(全長10.5mクラス・路線車):5.2〜5.3km/l
(3)いすゞエルガ(全長11mクラス・路線車):4.7〜4.9km/l
(4)日野ブルーリボン(10.5mクラス・路線車):5.2〜5.3km/l
(5)日野ブルーリボン(11mクラス・路線車):4.7〜4.9km/l
(6)三菱ふそう エアロクィーン/エアロエース(12mクラス・高速車):4.3〜4.9km/l

 実際に街中を走らせた際の数値はもっと下がると思うが、話がややこしくなるので、ここではカタログスペックだけに注目するとして、そうなると大型路線車/高速車では、どの車種も燃費は4km〜5km台の枠内に入るようだ。

 続いて、1960年代の後半に作られたバス車両のうち、カタログに燃費が掲載されていたものをピックアップして並べてみると……

【約半世紀前のバス車両の燃費】
(1)三菱M(A)R470(10.5mクラス・路線車):5.1km/l
(2)日野RD100(10mクラス・路線車):4.9km/l
(3)いすゞBXD30(8.3m・ボンネット路線車):6.7km/l
(4)いすゞBA30(9.6m・路線車):6.7km/l
(5)三菱B906R(12mクラス・高速車):3.2km/l
(6)日野RV100-P(11mクラス・高速車):4.2km/l

……といったスペックであったようだ。

■昔のほうが良さそう!? に見えるそのワケは

 現行車と昔のバスの燃費を見比べてみると、何やら昔のバス車両のほうが低燃費を出しているものが見受けられる。

路線バスの営業所に併設された軽油専用の給油設備
路線バスの営業所に併設された軽油専用の給油設備

 現在よりも軒並み排気量の大きいエンジンを積んでいた車が、ホントにそんなに走ったのか!? と首を傾げたくなるが、案の定これにはカラクリがあった。今と昔とで、燃費の計測方法が違うためだ。

 最近の大型車では、動力・走行系の細かなデータを、コンピューターに入力してシミュレーションした結果から、予想される大体の燃費を割り出している。

 一方で、上記の旧いバス車両群は恐らく、「定地燃費」という方法で算出した値が掲載されていたと思われる。

 定地燃費は、平坦で真っ直ぐな道を、一定の速度で走らせた際に消費した燃料の量を示したもので、走らせる速度は車種によって異なる(普通乗用車なら60km/hが一般的)。

 言わずもがな、そんな道路は日本全国どこを探してもなく、実際の燃費とは程遠い数値だったのは、昔から問題になっていたらしい。だいぶ“盛っていた”とも言える。

次ページは : ■正確な値は出せないけれど……

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