日本の道でも扱いやすい「5ナンバー」サイズの車が激減!?
長さ4.7m、幅1.7m、高さ2.0m以下というサイズ(排気量は2L以下)のもと、かつては税制面の優遇もあって人気を博した5ナンバー車が、いま岐路に立たされている。
N-BOXを筆頭とした軽自動車に人気が集中する一方、登録車ではグローバル化が進み、大柄な3ナンバーサイズの車種が増加。
「鶏が先か、卵が先か」的な話ではあるが、「大柄な登録車が増えたから軽自動車に人気が集中した」という見方があれば、「日本での人気が軽自動車に集中した結果、登録車は大柄な3ナンバー車ばかりになった」という側面もある。
いずれにしても5ナンバー車は、開発優先度が下がる→車としての競争力が落ちる→売れなくなるといった負のスパイラルに陥り、年々減少。そして、新型カローラのように長年5ナンバーを堅持しながら、3ナンバー化された車種も多い。
そうしたなかで、日産 マーチもすでに現行型の発売から10年目を迎えており、生産中止が近いとの噂もある。だが、しぶとく生き残る現役5ナンバー車には、地味ながら価値あるモデルも少なくない。
文:片岡英明
写真:HONDA、編集部
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ホンダ シャトル【存続濃厚】
コンパクトクラスの数少ないステーションワゴンで、3代目フィットのメカニズムを用いている。5ナンバーの小型車サイズだが、前席下に燃料タンクを置くホンダならではのセンタータンクレイアウトによって群を抜いて広いキャビンスペースを手に入れた。
シートアレンジも多彩だ。当然、理想的なパッケージングだからラゲッジルームも広く、形状もいいから荷物を積みやすい。
特にFFの1.5Lモデルの荷室は広大で、フィットの5割増しの570Lを実現した。後席を畳めば荷室容量は1141Lまで広がる。マルチユースバスケットも荷物の収納に重宝な装備だ。
パワーユニットは1.5Lの直列4気筒直噴エンジンとi-DCD方式のハイブリッド車を設定した。7速DCTを採用するハイブリッド車は力強く、モーター走行できる領域も広いから静粛性も高いレベル。
ハンドリングは素直だ。ワインディングロードに持ち込んでも気持ちよく走れる。日常の取り回し性に優れているのも魅力だ。
2019年5月にマイナーチェンジを行い、ホンダセンシングを進化させるとともにレザーシートをオプション設定。価格もリーズナブルだから買って損はない。長く付き合える5ナンバー車である。
トヨタ プレミオ/アリオン【生産終了確実】
プレミオとアリオンのご先祖は、日本を代表するミドルクラスのファミリーカー、コロナとカリーナだ。
コンパクトクラスには5ナンバーのセダンはある。が、ミドルクラスの4ドアセダンで、全幅を1700mm以下に収めているのはプレミオとアリオンしかない。今や絶滅危惧種なのだ。
デビューは2007年だから基本設計は古い。だが、2016年6月に気合いの入ったマイナーチェンジを断行し、エクステリアを化粧直しするとともにインテリアをメッキの加飾や木目調パネルで高級ムードに仕立てている。また、衝突回避支援システムのトヨタセーフティセンスCを設定した。
ボディサイズは日本の道路環境で運転しやすい5ナンバーサイズだ。狭い道でも運転しやすいし、車両感覚もつかみやすい。
エンジンは1.5Lの直列4気筒DOHCをボトムに、1.8Lと2Lを設定する。1.8Lモデルには4WDも設定した。基本設計は古いから走りの実力はそれなりだが、運転しやすいし、日常のシーンで穏やかな乗り心地なのも長所にあげられる。
後席の快適性を重視しているから後席は居心地がいい。トランク容量も満足できる広さだ。そろそろ生産中止に、との噂も出ているが、割り切って乗る人には満足度の高いファミリーカーとなる。
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