レトロな外観に最新テクノロジーを搭載した「ネオレトロ」モデルとして開発された「ヤマハXSRシリーズ」。国内モデルは2016年にXSR900、2017年にXSR700、2023年にXSR125が発売され、人気シリーズとなっている。そのXSR125をベースに排気量を拡大し、軽二輪クラスとして高速道路走行に対応したXSR155が国内モデルとして新登場。高速道路も含めて、走りの実力をチェックしてきた!
文:小川浩康 写真:真弓悟史
「もう少し遠くまで」「よりスポーティに走りたい」に応えて排気量を拡大

ヘッドランプ、メーターなど車体各部に丸型デザインを取り入れたXSRシリーズ共通のネオレトロなデザイン。ボディカラーはグリーン、シルバーのほか、往年の2ストスポーツ・RZ250をオマージュしたブラックの全3色をラインナップする。
「不変性を感じるスタイルと最新コンポーネントの融合」というXSRシリーズらしいネオレトロなスタイルを継承し、国内モデルとして登場したXSR155。ベースとなっているのは2023年に発売されたXSR125で、大きな変更点はシリンダー内径(ボア)。52.0→58.0mmと内径を拡大したことで、排気量は124→155ccへとアップ。最高出力は15→19PS、最大トルクは1.2→1.4kgf・mに向上している。
排気量アップは「もう少し遠くまでツーリングに出かけたい」「よりスポーティな走りを楽しみたい」というユーザーの声に応えたもので、高速道路走行とパワーアップに対応するための変更だ。さらに、リヤスプロケットも52→48Tに変更し、高速域での扱いやすさ向上に寄与している。
その水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンは、7000~7400rpmで吸気側カムが低速向けから高速向けに切り替わる可変バルブ(Variable Valve Actuation)を搭載し、低中回転域での扱いやすいトルク特性と高回転域での良好な加速感を両立。アシスト&スリッパークラッチも採用し、軽いクラッチレバー操作と、シフトダウン時の余剰トルク軽減も実現している。
車重はXSR125と同じ137kgに収められ、同一エンジンを搭載しているスーパースポーツYZF-R15よりも4kg軽い仕上がり。XSR125で好評だった取りまわしの軽さも損なわれていない。
XSR155の足着き性をチェック
原二クラスの取りまわしと軽二輪クラスの走りを両立
アップハンドルを装備しているXSR155は、レトロスタイルもあってスクランブラー的なアップライトなライディングポジションを予想していた。実際はハンドルグリップ位置がやや遠目にセットされているように感じられ、そのハンドルグリップ位置に合わせて着座位置を決めると、少し前傾姿勢となる。
けれど、この前傾姿勢のおかげで自然とフロント荷重となり、ハンドル操作に安定性が増して前輪の接地感も分かりやすくなる。少し広めのハンドル幅のおかげでハンドル操作は軽く行ないやすいが、そこに安定性がプラスされることで、クイックかつ正確なハンドリングを楽しめるようになっている。
エンジンのアイドリングは1400rpm付近で、2000rpmくらいからトルクが立ち上がり、3000rpmで充分なトルクが発揮され、4000rpmで流れに乗った市街地走行ができる。6000rpmまで回せばバイパスなどの流れの速い幹線道路もストレスなく走行でき、VVAが作動しない回転域でもスロットルレスポンスにダルさはなく、シャープな加速力も発揮する。むしろ市街地ではVVAが作動する7000~7400rpmまで回す機会はほぼなかった。
XSR155は、XSR125よりも1000rpmほど低い回転域から扱いやすいトルク特性になっているが、驚くほどトルクが太くなっているわけではなく、安定した2速発進ができるくらい粘り強さが増しているという感じだ。
そこに正確なハンドリング性と、アシスト&スリッパークラッチによる軽いクラッチレバー操作性が加わることで、軽二輪クラスの扱いやすさを原二クラスの軽い乗り味で体感できるようになっている。前後サスペンションのストローク感は少なめで、硬さを感じることもあるが、それがタンデム走行時のマシン挙動を安定させてくれる。
フロントブレーキはレバーを握り込むほどに制動力がジワーっと増してきて、ABSの介入も頻繁ではないのでコントロールしやすい。XSR125から格段に速くなってはいないが、全域でトルクが粘り強くなっているので、より扱いやすくなっている。それが乗りやすさにもなっているのでライダーがライディング操作に余裕を感じやすくなり、少しペースを上げて走行するようなスポーティさも、より楽しみやすくなっている。
車体の安定性が高く、100km/h巡航もこなせる!
試乗したXSR155はETC非装着だったので、料金所で一旦停車してから走行車線へ向けて加速していった。この時にスロットルを全開付近まで開けたが、身体が振り落とされるようなトルクは感じなかったものの、エンジンの回転上昇はスムーズで、ほどなく90km/hまで到達した。
ただし、そこから100km/h到達までは少し間を感じ、エンジンからの振動も増えてきたが、車体剛性の高さもあって直進性は安定していて、ハンドルが振られるようなことは皆無だった。メーター目視だが、6速100km/hは7000rpm付近で、風圧は少し受けるが、手がしびれるような振動もなく、100km/h巡航もこなせるポテンシャルを持っているのが体感できた。
エンジン回転数の余裕や車体からの振動、走行風などを考慮すると、XSR155の最高速はもう少し伸びるが、ツーリング中の快適な移動を目的とするなら、90~100km/h巡航がバイクとライダーともに負担が少なくなるだろうと思った。
高速道路を走らないと決めているなら、軽い取りまわしと扱いきれるパワー、維持費の安さなどでXSR125で充分にバイクライフを楽しめるだろう。ただし、無理なく高速道路で100km/h巡航ができ、1日の移動距離を延ばすことでツーリングの範囲を広げられる点はXSR155の大きな魅力だ。
XSR125と同等の取りまわしの軽さで、スポーティな走りも余裕をもって楽しめるオールマイティさは、XSR155ならではの特徴といえる。パワーに振り回されず、軽快なマシンコントロールを楽しみたいなら、XSR155はXSRシリーズ中ベストバランスだと思った。
ヤマハXSR155主要諸元
・全長×全幅×全高:2005×805×1075mm
・ホイールベース:1325mm
・車重:137kg
・エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒155cc
・最高出力:19PS/10000rpm
・最大トルク:1.4kgf・m/7500rpm
・燃料タンク容量:10L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-17、R=140/70-17
・価格:53万9000円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/543808/
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