大型二輪免許を持っていれば、多くのライダーが憧れる1000cc超のリッタークラス。でも、最近は、600cc~900ccのミドルクラスもかなり充実しています。スーパースポーツからネイキッド、ネオクラシックにアドベンチャーなどのツアラー系まで、まさに百花繚乱! しかも、2025年にはストリートファイターのホンダ・CB750ホーネット、ヤマハからはトレーサー9GT+やMT-07に電子制御シフト機構のY-AMT仕様車が追加。さらに今後は、ヤマハの最新スーパースポーツ「YZF-R9」、ネオクラシック系ではスズキの「GSX-8T」「GSX-8TT」の国内販売も期待されており、ラインアップはさらに拡大傾向です。
そんなミドルクラスのバイクたちですが、とくに、ベテランライダーや大型バイク初心者にはおすすめ。その理由や実際のメリットなどを、筆者の経験談も交えながら紹介してみましょう。
600cc〜900ccクラスをスタイル別にチェック
まず、国産車を例に、600cc〜900ccクラスには、主にどんなバイクがあるのかをスタイル別に見てみましょう。2025年8月9日現在、新車で購入できるモデルと近日登場が期待されているモデルは以下の通りです。
【スーパースポーツ・フルカウルスポーツ系】
ホンダ・CBR650R/E-クラッチ
ホンダ・CBR600RR
ヤマハ・YZF-R9(2025年春以降の発売予定)
ヤマハ・YZF-R7
スズキ・GSX-8R
カワサキ・ニンジャ650
カワサキ・ニンジャZX-6R
カワサキ・ニンジャ7ハイブリッド
【ストリートファイター系】
ホンダ・CB750ホーネット
ヤマハ・MT-09/SP/Y-AMT
ヤマハ・MT-07/Y-AMT
スズキ・GSX-8S
カワサキ・Z900
カワサキ・Z650
カワサキ・Z7ハイブリッド
【ネオクラシック・ネイキッド系】
ホンダ・CB650R/E-クラッチ
ヤマハ・XSR900GP
ヤマハ・XSR900
ヤマハ・XSR700
スズキ・GSX-8T/8TT(2025年夏頃より世界各国で順次販売を開始)
スズキ・SV650/650X
カワサキ・Z900RS/SE/カフェ
カワサキ・Z650RS
カワサキ・W800
カワサキ・メグロK3
【ツアラー・アドベンチャー系】
ホンダ・NC750X/DCT
ホンダ・XL750トランザルプ
ヤマハ・トレーサー9GT/9GT+ Y-AMT
ヤマハ・テネレ700
スズキ・Vストローム800/800DE
スズキ・Vストローム650/650XT
カワサキ・ヴェルシス650
【スクーター系】
ホンダ・X-ADV
ご覧の通り、スーパースポーツ系やフルカウルスポーツ、ストリートファイターなどのネイキッド系、ネオクラシックにツアラー系など、ざまざまなジャンルのモデルたちが揃っていることが分かりますよね。
とくに、2024年から2025年にかけては、このクラスに新型車が目白押し。たとえば、ホンダでは、2024年、マイナーチェンジしたCBR650RやCB650Rに新MT機構のホンダE-クラッチ仕様車を追加。2025年にはストリートファイターのCB750ホーネットを発売するなどでラインアップを拡充しています。
また、ヤマハでも、2024年にストリートファイターのMT-09に電子制御シフト機構Y-AMTを搭載した仕様を追加。2025年にはその兄弟車となるMT-07、そして高級ツアラーのトレーサー9GT+の両モデルにもY-AMT仕様車を投入し、ホンダのE-クラッチ車に対抗する構えをみせています。
さらに、欧州では2024年に発売された新型スーパースポーツのYZF-R9も、近日日本での登場が期待されています。また、スズキでは、776cc・直列2気筒エンジンを搭載したネオクラシックモデルのGSX-8Tと、カフェレーサースタイルのGSX-8TTを発表。2025年夏頃より、欧州、北米を中心に世界各国で順次販売を開始することを明らかにしており、日本への導入も期待されます。
ボディサイズや重さが「ちょうどいい」
このように、新型車も続々と登場し、さらに充実度がアップしている、600cc~900ccクラス。では、実際に、大型バイクの定番といえる1000cc超の大排気量車と比べ、どんな魅力やメリットがあるのでしょうか? まず、筆者の経験を紹介しつつ、シニアなどベテランライダーにとってのメリットを考えてみます。
バイク歴40年以上、2025年6月に還暦ライダーとなった筆者にとって、600cc~900ccクラスのバイクは、車格や重さが「ちょうどいい」といえます。
現在、筆者の愛車はホンダ・CBR650R(2020年式の初期型)。その前は、大排気量1300ccのスズキ・ハヤブサ(2008年式の2代目)に約12年間乗っていました。
ハヤブサといえば、筆者が乗っていた2代目で最高出力197PS(現行の3代目は188PS)。圧倒的な動力性能を持ちつつも、街乗りやワインディングなどでも扱いやすい特性を持つことで、ツーリングはもちろん、峠などでのスポーツ走行なども堪能。また、年に1〜2回はサーキット走行も楽しんでいました。
ですが、残念ながら2020年にCBR650Rへ愛車をチェンジ。理由は、50歳も半ばを過ぎたことから、ロングツーリングの後などに自宅付近で数度の立ちゴケを経験したためです。しかも、いずれも停車中や低速走行時の転倒。ハヤブサは、乗ってしまえば意外に軽快なのですが、さすがに停車中などの取り回しはかなり重く感じます。なにせ、2代目ハヤブサの装備重量は、266kgもあるのですから(現行の3代目でも264kg)。
そのため、狭い駐車場などでバイクを押したり、方向転換するときなどは、かなり力も必要。また、身長164cmと小柄な筆者には、ポジションが大柄なこともあり、渋滞路などでの低速走行やUターン時は、車体の重さもあって、コントロールには細心の注意を払う必要がありました。とくに、街乗りなどでは重くて大柄な感じで、ツーリング後の疲れて集中力がなくなった状態時に、情けない立ちゴケを何度かやってしまったのです。
いずれの立ちゴケも幸い体に怪我などはなかったのですが、1回転倒すると、カウルが傷付き、交換には片側で最低4万〜5万円は必要。立ちゴケの代償は、お財布にも優しくありませんでした。
そこで、思い切ってCBR650Rにチェンジ。愛車が納車され、跨がった瞬間に感じたのが、まるで400ccくらいのバイクに感じられたこと。ハヤブサと比べ、あきらかに車体がコンパクトだったのです。車体が大柄なハヤブサのように、立ちゴケを心配しながら身構える必要は一切なし。また、駐車場などでの取り回しなどをかなり楽にやれたことも印象的でした。
ちなみに、両モデルのボディサイズは、以下の通りです。
・2代目ハヤブサ:全長2190mm×全幅735mm×全高1165mm、ホイールベース1480mm(国内仕様の数値)
・CBR650R(初期型):全長2120mm×全幅750mm×全高1150mm、ホイールベース1450mm
数値を比べても、全体的にCBR650Rの方がコンパクトなのが分かりますよね。セパレートハンドルながら前傾もさほどきつくないから、ライディングポジションも楽。低速走行などでもバランスが取りやすいですし、長距離走行でも疲れにくい。対するハヤブサは、筆者の体格ではハンドルが遠いこともあり、前傾姿勢はややキツめ。特にスローな走りではバランスを取るのがちょっと大変でした。
一般的に、バイクで渋滞路などの低速走行をするのは、バランスを取りづらいもの。とくに、ハヤブサのように重くて大きなバイクは、慣れないと、渋滞路でノロノロと走る時など、バランスを取るのもひと苦労となります。その点、CBR650Rくらいのよりコンパクトなバイクなら、比較的に扱いやすく、バランスも崩しにくいといえます。
そう考えると、筆者のように体力が落ちた還暦ライダーはもちろん、久々にバイクに乗るリターンライダーなども、重い大排気量車よりも、600〜900ccのバイクのほうが、より安全で安心して走行できるのではないかと思います。
また、この点は若者でも大型二輪免許取り立ての初心者など、大排気量バイクに慣れていないライダーも同様でしょう。詳しくは後述しますが、まずは、より扱いやすい600~900ccクラスのバイクで慣れてから、1000cc超のモデルにステップアップした方が、より安全に大型バイクを楽しめるのではないでしょうか。
扱いきれるパワーが最適
600cc~900ccクラスのバイクは、シニアなどのベテランライダーにとってパワー面でも最適なのではないかと思います。
たとえば、これも筆者の愛車CBR650Rでは、最高出力95PS/12000rpm。2代目ハヤブサ(最高出力197PS)や最近の200PSを優に超える1000ccスーパースポーツなどと比べると、100PS前後少ないパワーです。











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