近年、世界的に高い人気を誇るスタイルのひとつが、レトロな雰囲気と最新の装備を備える「ネオクラシック」というジャンル。特に、2025年は、ホンダが1980年代の名車「CB750F/900F」をイメージした「CB1000F/SEコンセプト」、スズキも「タイタン」の愛称を持つ1960年代の「T500」をオマージュした「GSX-8T/8TT」を発表。いずれも、昭和レトロなテイストを持つことで、このジャンルの注目度がさらにアップしています。
ここでは、そんな昭和レトロ系モデルのなかでも、最新&注目モデル13タイプをピックアップして紹介してみましょう。
ホンダ・CB1000F/SEコンセプト
ホンダが、2025年春のモーターサイクルショーで世界初公開し、一躍大きな注目を集めている市販予定車が「CB1000Fコンセプト」です。2025年8月の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、そのビキニカウル版「CB1000F SE コンセプト」もお披露目。加えて、STDでは3タイプのカラーバリエーションも公表されるなどで、益々注目度がアップしている最新モデルです。

【ホンダCB1000Fコンセプト】ビキニカウルを装備したCB1000Fコンセプトの追加グレード。他にもグリップヒーターやラジエーターガード、クイックシフター、オリジナル表皮の専用シートを装備している。
これらモデルの大きな注目点は、往年の名車「CB750F」、その輸出仕様車「CB900F」をデザイン面でのモチーフとしていること。しかも、メインのボディカラーには、1980年代に大活躍したアメリカ人レーシングライダーのフレディ・スペンサー氏が、北米の最高峰レース「AMAスーパーバイク」で戦った「CB900F」のカラーやグラフィックを復刻。当時、バイクで青春を謳歌したベテランライダーたちにとって、「憧れの1台」だったいわゆる「スペンサーレプリカ」を彷彿とさせる仕様となっているのです。
全体のデザインは、オーソドックスなロードスポーツらしいスタイルに最先端のテクノロジーをマッチングさせていることが特徴。とくに鋼板製の燃料タンクは、ホンダの開発者いわく「スチールらしい面の表情」を持たせたそうで、かつてのCB750Fなどを想起させる形状ながら、硬さと柔らかさをバランスさせた今風のテイストもマッチングさせています。
搭載するエンジンは、ストリートファイターモデル「CB1000ホーネット」と同系の1000cc・4気筒。スーパースポーツの2017年型「CBR1000RR」用エンジンをベースとし、新開発のダイキャスト製ピストンを採用するなどで、低・中速域のトルク特性と出力特性を高いレベルでバランスさせていることが特徴です。
また、足まわりは、Y字5本スポークの前後17インチホイールや、フロント120/70ZR17とリア180/55ZR17のタイヤサイズなど、CB1000ホーネットと同様のパーツを採用。ほかにも、レトロなデザインと機能面での充実度を両立した丸目一灯のヘッドライトを装備するほか、派生機種の「SEコンセプト」にはビキニカウルも搭載し、よりスタイリッシュな雰囲気も醸し出します。
まだ、国内販売の時期や価格などは未発表のため、追加のアナウンスが気になるところ。いずれにしろ、惜しまれながらも生産終了となる「CB1300スーパーフォア」シリーズに代わり、ホンダの伝統CBシリーズの次世代フラッグシップになるモデルだけに、登場に期待大ですね。
スズキ・GSX-8T/8TT
スズキが、2025年7月4日に発表した新型ネイキッド「GSX-8T」とそのミニカウル版「GSX-8TT」も、ネオクラシックの最新&注目モデルです。
とくに、ベースモデルとなるGSX-8Tは、1960年代の高性能ネイキッドバイクで、「タイタン(Titan)」の愛称で知られる「T500」を彷彿とさせるデザインがトピックといえます。
初代が1968年に登場し、ロードレーサー「TR500タイタン」のベースマシンにもなったのがT500。大きな特徴は、量産車として世界初の500cc・2サイクル2気筒エンジンを搭載したこと。耐久性に優れ、中低速重視のセッティングを施したこのエンジンは、最高出力47PS、最大トルク5.5kg-mを発揮。5段ミッションを介して最高速度181km/h、0-400m加速13.2秒という当時としては優れた走行性能を持つことで、世界の重量スポーツ車ファンから一躍注目を集めました。また、このエンジンを搭載したことで、T500は「2サイクルのスズキ」の名を確固たるものとした名車としても有名です。
そんなT500をオマージュしたGSX-8Tは、車体後方をマットブラックにすることでタンクを際立たせるカラーリングを採用。シュラウドには、勝負球を意味するビリヤードのエイトボールをイメージした立体エンブレムを装備するなどで、レトロかつモダンなスタイルを実現しています。
また、スズキが「1970年代のロードレーサーをイメージした」というのが、ビキニカウル仕様のGSX-8TT。エンジン下部にはアンダーカウルも採用しスポーティさをアップ。ブラックのフロントフォークやシュラウド、グレーのシートレールに、燃料タンクなどにはレーシーなデカールなども装着。ちなみに、車名の「TT」は、クラシックバイクを現代によみがえらせるという意味を込め、ベースモデルの「GSX-8T」と「Timeless」を掛け合わせたネーミングだといいます。
なお、両タイプは、どちらもエンジンに270度クランクを採用した776cc・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒を搭載。「GSX-8S」や「GSX-8R」、「Vストローム800」、「Vストローム800DE」などと同型で、2軸1次バランサー「スズキクロスバランサー」などの採用により、低速から高速まで扱いやすい特性が魅力のパワートレインです。
最高出力や最大トルクなど、エンジンのスペックは未発表ですが、例えば、同型エンジンを持つネイキッドモデルの「GSX-8S」の場合、最高出力59kW(80PS)/8500rpm、最大トルク76N・m(7.7kgf・m)/6800rpm。GSX-8TやGSX-8TTでも、これらに近い数値となることが予想されます。
スズキでは、これらモデルに関し、「2025年夏頃より、欧州、北米を中心に世界各国で順次販売を開始」すると発表。日本での発売はいつ頃になり、どのくらいの価格帯で導入されるのかも注目ですね。
カワサキ・Z900RS/SE/カフェ
2017年の発売以来、大型バイクのなかでも特に大きな支持を受けている大ヒットモデルが、カワサキの「Z900RS」です。
そのルーツは1972年に登場し、世界中でいまだに高い支持を受ける900ccモデルの名車「900スーパー4」、通称「Z1」。ティアドロップタイプの燃料タンクやテールカウル、水冷ながら美しいフィンを持つ948cc・並列4気筒エンジンなどの採用で、名車Z1のスタイルを現代に蘇らせているのがZ900RSだといえます。
また、トラクション・コントロールやマルチファンクション液晶パネル、LEDヘッドライトなどの最新テクノロジーや高性能パーツも搭載。クラシカルなフォルムだけではなく、最新の装備により高次元での走りも実現します。そして、これらにより、街乗りから長距離ツーリング、ワインディングやサーキットのスポーツ走行まで、幅広いシーンで楽しめるマシンに仕上がっているのがこのマシンです。
ラインアップには、スタンダード仕様の「Z900RS」、オーリンズ製リヤショックなどを採用したハイグレードな「Z900RS SE」、フロントカウル付きの「Z900RSカフェ」を用意。また、特別な手法で塗装されたイエローボールカラーのティアドロップ型の燃料タンクなどが魅力の「Z900RS イエローボールエディション」も設定されています。
価格(税込み)は、Z900RSが148万5000円、Z900RS SEが170万5000円、Z900RSカフェが151万8000円。Z900RS イエローボールエディションは156万2000円です。

















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