パトカーの前を走るの、ドキドキする…でも追い越しても大丈夫なケースもある！

　バイクやクルマで走っていると、前をかなりゆっくりと走行するパトカーや白バイなどの警察車両と遭遇。こんなとき、抜いてしまうのはドキドキするという人も多いと思いますが、実際にパトカーを抜いても大丈夫なのでしょうか？

文/平塚直樹

サイレンや赤灯の有無が判断の分かれ目

　パトカーなどが前方にいる場合のライダーやドライバーの対応には、SNSなどを見てみると、

「法定速度で走っているけど、追い越したら捕まりそうだから抜かない」
「高速道路で後ろについたけど、誰も抜かないので後方が渋滞している」

　など、ゆっくり走っていてもパトカーに遠慮してしまい、後をそのまま走り続ける人も多いようです。

　また、「抜いてしまうと捕まるのでは？」といった心配をし、緊張してしまうような話もよく耳にします。

　では、実際に、前を走っているパトカーを追い越すことは、違反になるのでしょうか？　

　最初に結論をいえば、パトカーなどの警察車両も、赤灯やサイレンを鳴らしていないときは一般の車両と同じ。つまり、追い越しても特に問題はないのです。

パトカーなどの警察車両も、赤灯やサイレンを鳴らしていないときは一般の車両と同じ。つまり、追い越しても特に問題はない

追い越し時はスピードの出し過ぎに注意

　ただし、追い越す場合にはいくつか注意点もあります。まず、1つめは、スピードを出し過ぎないことです。

　たとえば、パトカーなどが、道路の制限速度ギリギリを走っているような時。そんな状況で、追い越すためにスピードを出し過ぎて制限速度を超えてしまうと、速度違反となってしまいます。

　道路交通法第22条には

「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」

　と決められています。つまり、法律上、制限速度を1km/hでも超えると、スピード違反となるのです。

　ただし、バイクやクルマのスピードメーターは、実際の速度と誤差があり、本来のスピードの＋10km/h程度で表示される場合もあります。そのため、メーター上で制限速度を超えたからといって、すぐに検挙されないことも考えられます。

　でも、だからといって「メーター読みで（制限速度の）＋10km/hまでなら捕まらない」とは言い切れないのも事実。もし、スピード違反で捕まれば、反則金や違反点数を引かれるだけに、リスクを背負ってまで抜かない方がいいといえます。

　そう考えると、走行中のスピードは、あくまでメーターの表示速度を基本と考え、十分に確認し、制限速度以内で追い抜けるのであれば抜く、といったスタンスでいいのではないでしょうか。

道路の制限速度ギリギリを走っているパトカーを抜こうとすると、スピードを出し過ぎる場合もあるので注意

高速道路では右側を走り続けると違反

　また、高速道路などでパトカーを追い越した後に、右側の追い越し車線をずっと走り続けることも御法度です。追い抜いた後は、左側の走行車線に車線変更しないと、「通行帯違反」に問われることがあります。

　ちなみに、高速道路での違反取締件数では、最高速度違反に次いで２番目に多い取締対象が通行帯違反だといわれています。

　たとえば、内閣府が公開している「令和7年版交通安全白書」によると、2024年に高速道路において違反行為で検挙された件数のトップ3は以下の通り。

1位：最高速度違反　 25万9683件
2位：車両通行帯違反　4万4197件
3位：車間距離不保持　 4713件

　1位の最高速度違反がダントツではありますが、通行帯違反もほかの違反と比べるとかなりの件数です。

2024年（令和6年）と2023年（令和5年）の高速道路における交通違反取締り件数（出展：令和7年版交通安全白書）

　しかも、通行帯違反には、明確な距離や走行時間に関する基準はありません。取締りを行うかどうかは、警察官の判断に委ねられているため、追い越し後すぐに左の走行車線へ車線変更をしなかっただけでも、取締りの対象になる恐れもあります。

　そして、もし取り締まりの対象になると、バイクの場合、以下の罰則が科せられます。

【通行帯違反の罰則（バイクの場合）】

・違反点数：１点
・反則金：6000円

　このように、パトカーなどを追い越す場合は、走行車線などにも十分に注意したほうがいいのです。

高速道路などで追い越し車線を走り続けると、通行帯違反で捕まる可能性がある

追い越し禁止の場所なども注意

　さらに、当然ながら、道路標識によって追い越しが禁止されている場所や交差点・横断歩道・踏切付近などでは、そもそも追い越し自体が禁止となっています。そうした場所で、パトカーがサイレンや赤灯を点灯せず、ゆっくり走っていたとしても、抜くのは違法になるので注意しましょう。

追い越し禁止の標識があったり、交差点・横断歩道・踏切付近などそもそも追い越しが禁止となっている場所も注意が必要

　また、パトカーが赤色灯を点灯しサイレンを鳴らして走行している場合は、事件や事故など緊急事態で現場に向かっているため、道を譲る必要があります。

　警察車両や救急車など、サイレンを鳴らして赤灯を点灯させている緊急自動車が近づいてきた際、基本的には、道路の左側に寄って進路を譲るのがルール。また、たとえば、交差点やその付近で遭遇した際は、バイクやクルマなどの一般車両は交差点に入るのを避け、やはり道路の左側に寄って一時停止する必要があります。

パトカーなどの警察車両が、赤灯の点灯やサイレンなどを鳴らしている場合は、道を譲るのが基本

　ともあれ、前述の通り、赤灯点灯やサイレンなどを鳴らしていないパトカーなどの警察車両は、交通ルールを守っていれば追い越しても問題なしなのです。そのため、パトカーや白バイを見かけても、焦らず落ち着いて運転すればいいといえます。ただし、ある程度の注意も必要ですから、冷静にその時の状況を判断し、違反にならないよう十分に気をつけて走行しましょう。

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/500149/

パトカーの前を走るの、ドキドキする…でも追い越しても大丈夫なケースもある！【画像ギャラリー】
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