ヨンフォアにラッタッタ、CBX400Fほか、俺たちをザワつかせたバイクの名(迷)コピー【ホンダ編】

「晴れ・のち・スカイ」スカイ

 スズキ編では明石家さんまとハイの広告を紹介したが、後に結婚する大竹しのぶもバイクのCMに登場していた。

 そのバイクこそ1982年に発売されたスカイ。国内最軽量となる乾燥重量39kgのスクーターで女性にアピールしていたこともあり、大竹しのぶが起用されたのだろう。

軽量スリムさがウリだったスカイ。翌年型ではさらに軽い37kgになった。7万5000円と価格もリーズナブル。■空冷2スト単気筒49cc 4ps 乾燥重量39kg<br>
軽量スリムさがウリだったスカイ。翌年型ではさらに軽い37kgになった。7万5000円と価格もリーズナブル。■空冷2スト単気筒49cc 4ps 乾燥重量39kg

 大竹しのぶは当時26歳。3年前にヒット映画『あゝ野麦峠』に主演し、乗りに乗っている時期だ。翌年にはプロ野球選手の江本孟紀と一緒にスカイダイビングをするCMも放送された。

 さんまがスズキ ハイのCMに登場するのが1985年。大竹しのぶの方が早くブレイクしており、さんまより3年前にCMへ登場していたのだ。

 なお同名の全く異なるスクーターが1996年、欧州で販売。後にVia(ビア)の名称で国内にも販売された。

「400マルチ、いまクライマックス」CBX400F

 絶版車市場で今も絶大な人気を誇るCBX400F。当時価格は50万円弱だったが、現在の中古車相場は500万円以上がザラで800万円近いタマもある。

 そのキャッチコピーは「400マルチ、いまクライマックス」。コピーのとおり、CBXはホンダが満を侍して400cc4気筒クラスに導入した意欲作だった。

初期型のカタログ。「マルチ」はもはや死語に近いが、並列4気筒のこと。CBX400Fはクロスエキパイが特徴で、カタログでもしっかり強調されている<br>
初期型のカタログ。「マルチ」はもはや死語に近いが、並列4気筒のこと。CBX400Fはクロスエキパイが特徴で、カタログでもしっかり強調されている

 ホンダはCB400フォア以降、400cc直4モデルを発売してこなかったが、カワサキZ400FXやヤマハXJ400ら直4モデルが大人気に。そこで1981年11月、最後発で送り込まれたCBX400Fは、ライバルがDOHC2バルブだったのに対し、4バルブを備え、クラス最高の48psを発生した。

 さらにプロリンクのリヤモノサス、アルミスイングアーム、世界初のインボードベンチレーテッドディスクとホンダの最新技術が詰め込まれていた。当時まさに“クライマックス”なバイクだったのだ。

「DJ、DJ」「見たか乗ったか大人気」 DJ-1

 1985年に登場したスクーターのDJ-1。これは名(迷)コピーというよりはCMのインパクトが凄かった。

 マッチョな黒人DJが「DJ! DJ!」と語ると、アニーが唄う『DJ In My Life』を背景にDJ-1が颯爽と走り、今も現役の声優、神谷明が「見たか乗ったか大人気、とびっきりのノリのよさ」とナレーションする。

基本設計の多くはタクトと共通ながら、よりスポーティなDJ-1。30秒の長尺CMではマッチョDJ(誰?)がカンフーのマネも。■空冷2スト単気筒 5.2ps 乾燥重量52kg<br>
基本設計の多くはタクトと共通ながら、よりスポーティなDJ-1。30秒の長尺CMではマッチョDJ(誰?)がカンフーのマネも。■空冷2スト単気筒 5.2ps 乾燥重量52kg

 DJ-1の車名は、ディスクジョッキーのDJはもちろん、「ダッシュ」「ジャンプ」などが由来だが、当時、大人気だったヤマハのジョグに対抗するため「打倒ジョグ」が本当の意味では……と噂になったのだ。

「DIRECT TUNE」CBR400RR

 1980年代後半になると、各社のレーサーレプリカがほぼ毎年フルチェンジに近い内容でシノギを削った。

 CBR400RRもまさにその1台。スズキ編では、いかに「サーキット直系」「ワークス直系」かを謳うコピーが連発されたが、ホンダもご多分に漏れず、1988年型の初代CBR400RRに「DIRECT TUNE」なる煽り文句をつけた。

先代のCBR400Rがツアラー風だったのに対し、いかにもレーシーなフォルムに刷新。先進のカムギアトレーンを継続採用した。雑誌広告では「DIRECTOR RR」のコピーも<br>
先代のCBR400Rがツアラー風だったのに対し、いかにもレーシーなフォルムに刷新。先進のカムギアトレーンを継続採用した。雑誌広告では「DIRECTOR RR」のコピーも

 4スト直4レプリカとして大人気を博し、発売年の400ccクラスでベストセラーを記録。サーキットでも強く、デビュー年の鈴鹿4耐制覇が話題になった。さらに1990年型では低重心のLCGアームやガルアームなどで進化。2000年まで続くロングセラーとなった。

 ちなみに、現代に続くCBR-RRのネーミングを初めて使ったバイクでもある。

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