1960年代の豊かなボディバリエーションを持ったバスを当時のカタログで見る

1960年代の豊かなボディバリエーションを持ったバスを当時のカタログで見る

 1969年に発行されたこのカタログは、すでにマイナーチェンジが行なわれたMRシリーズで、このシリーズは1960年にデビューした。型番の数字は全長によって異なるものだが、大きな数字が長いというわけではない。

●車両データ:ふそう大型バス MR520/M(A)R410/M(A)R470

(記事の内容は、2022年9月現在のものです)
執筆/バスマガジン編集部 カタログ提供/難波 有
※2022年9月発売《バスマガジンvol.115》『懐かしバスのお宝カタログ』より

■三者三様の性能とキャラクター設定が時代を映している

本誌vol.109「平成初期のバスを振り返る」のページで紹介した川中島バスのMR470。京阪バスから転入した車両だ(写真/石鎚 翼)
本誌vol.109「平成初期のバスを振り返る」のページで紹介した川中島バスのMR470。京阪バスから転入した車両だ(写真/石鎚 翼)

 カタログには3種類のバスがMRシリーズとして紹介され、長さの違いで用途を分た説明が成されている。520型は前、中、前・中扉が紹介されている路線車で、全長9335mm。コピーでは最小回転半径8.1mをアピールしている。すごい小回り性能だ。

 410型は路線・観光の汎用型で、全長は中間の9965mm。前、中、前・後扉が紹介され、一般路線使用はもちろん、いわゆるワンロマ、送迎ニーズにも適したタイプであるアピールがされている。

 最長の470型は全長10585mmを誇る、堂々たる観光タイプのバス。カタロクでは路線用とも併記されているが、最高時速100kmという走行性能から、長距離高速路線のイメージだ。窓は引き違いでゴージャスな車内が紹介されている。

 410型と470型は「M(A)R」と括弧付きの表記がされているが、これは「MAR」というエアサス車を示す記号だ。そして諸元表の[特別仕様]欄を見ると、エキゾーストブレーキとタコグラフがエアサス車には付いていない旨が記されている。

 カタログ写真でこのキャラクターが違う3車の外観を見ると、サイドではドアや窓が用途による顕著な違いを表しているが、一見良く似たフロントにも個性が出ていて面白い。

 観光に使用される400番台の2車は、ヘッドライトベゼルが楕円型。ただし、開閉式エアインテークを2つ付けられた410型に対し、行灯がつけられた470型には無い。さらに[FUSO]エンブレムの位置も行灯のためにヘッドライト間に下げられている。

 路線ニーズを想定された2車、410型と520型は[FUSO]エンブレムがフロントウインドーの真下に設置されるが、路線専用想定の520型のヘッドライトは、やや四角形なライトベゼルで覆われ、優し目の顔つきとされている。当時のキャラクター設定がよくわかるような、秀逸なカタログだ。

【画像ギャラリー】限られた誌面でシリーズの3種を網羅!! ふそう MRシリーズの超貴重な「当時もの」お宝カタログ(12枚)画像ギャラリー

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