最近の一般路線バス車両に付いているテールランプ類のうち、主にブレーキとウインカー用のランプには、長方形のタイプがよく使われている。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、路線バス車両の各種テールランプまわりの写真があります)
■1990年代に普及した角型汎用ランプ
路線バス車両のテールランプには、ディーゼルエンジンを搭載した中型/大型路線車ならメーカーを問わず、ほぼ同じ形をした汎用タイプと言えるデザインのものが車体後部に外付けされている。
その昔、お米のお菓子にシルエットが似ているところから、通称「柿の種」と呼ばれる汎用テールランプがあり、ひと頃まで一般路線バスの後部を飾るものといえば、柿の種テールを連想するほどメジャーな存在であった。
1990年代に入ると、少しずつ柿の種テールは姿を消してゆき、入れ替わるように長方形スタイルで寸法約205x160mmタイプのランプ(汎用角型)が積極的に導入され始め、この形状が定着して2025年現在も続いている。
■汎用角型以外のテールランプってあるの?
街中を走るバス車両で最もよく見かけるテールランプの形状は角型で間違いなさそうだが、必ず角型にしないとダメというルールは特にないハズで、となれば型に捉われないケースも少なからず見つかりそうな気がする。
果たして、ブレーキ/ウインカー用のランプが汎用角型ではないバスに、どんなものがあるだろうか。今回は各地で見かけたバス車両から、小型・中型・大型路線車を例に、ちょっとイレギュラーなテールランプのデザインを考察してみよう。
まずは路線車の中でもちょっと特別な存在感を放つ、トヨタによる燃料電池車「SORA」。1台約1億円と通常のディーゼル車の推定4倍+という価格帯を誇る、路線バス界の高級車だ。
SORAには汎用角型ではなく、角に丸みを付けた台形タイプのコンビネーションランプが、車体のラインに溶け込むようセットされており、外付け感のない個性的なテールランプ像の持ち主となっている。
■角型があるならその反対も!?
角型ランプが存在するなら、きっとアッチも有るだろうと予想して、汎用角型ほど頻繁に見かけるわけではないものの、概ね予想通りなのが「丸型」である。
どんなバス車両に丸型テールが付いているのか……代表的なものが、日本国内の小型バスの新しい概念を作った、日野自動車の「ポンチョ」だ。
ポンチョは全体的に丸みを帯びた、親しみやすい車体デザインが特徴の一つで、ヘッドランプにダイハツ製軽自動車のパーツを流用した丸型タイプが組み込まれている。
テールランプもまたブレーキ、ウインカー、リバース用ともに丸型が標準となっていて、後部の左右に4つずつ縦方向に配置されている。
■EVは丸いのがお好き?
また、主に中国で製造され、一部日本のバス事業者が導入しているEVバスのリアに注目すると、こちらも丸型テールランプを標準装備しているものがかなり多い。
国内で使われているEVバスの中では、BYD製やEVモータース製、アルファバス製の車両がこれによく該当。ポンチョクラスの小型から大型路線車まで、一通りのラインナップで丸型テールランプが見られる。
同じEVの枠組みでも、いすゞ/日野自動車が発売している「エルガEV/ブルーリボンZ EV」のテールランプは丸型ではなく、小糸製作所製のトラック向け、小型オールLEDリアコンビネーションランプが標準とみられ、こちらは寸法約303.5×98.5mmの長方形スタイルだ。







