■空の現場で始まるもう一つの学び
そして、この日の最大の目的地がJALテクニカルセンターだ。ここは実際にJALの新入社員研修にも使用されている施設で、機内を忠実に再現した空間の中で、CA業務の一端を体験できる。受付で渡された名札には「マチダ CA」の文字。まさか自分がCA役になる日が来るとは思わず、思わず苦笑いしながらのスタートとなった。
最初に行われたのは「ブリーフィング」だ。CAやパイロットは、毎回異なるメンバーと仕事をするため、フライト前に名前を呼び合い、互いの役割や状況を共有する時間を必ず設けているという。短時間であっても、この行程を挟むことでチームとしての一体感が生まれ、現場での判断や連携がスムーズになるそうだ。
これは私たちバス業界においても、本来とても大切にされるべき時間なのではないだろうか。運転士、ガイド、添乗員。立場は違えど、同じ「旅」を支える仲間であることに変わりはない。名前を知り、言葉を交わし、相手を理解する。その積み重ねが、結果としてお客様の安心につながっていくのではないだろうか。
今回、私たちもブリーフィングを体験し、名前や出身地、楽しみにしていることを共有した。わずかな時間でありながら、場の空気が柔らぎ、同じ方向を向いて動き出せる感覚が生まれたのが印象的だった。
■マチダCA飛びます!
このツアーは、参加者を午前・午後の二班に分け、時間差で体験を行う形式となっていた。私たちは午後の部に参加し、まずは機内食体験からスタート。体験プログラムでは行き先別に「ホノルル班」と「パリ班」に分かれ、私はホノルル班として参加した。ビジネスクラス仕様の機内食は、気圧変化を考慮し、空の上でも成立する味付けが施されているという。非日常の席で味わう食事は、サービスの裏側を知る時間でもあった。
後半はいよいよCA体験へ。ホノルル便を想定した機内アナウンスでは、声だけで空間を整え、安心を届ける難しさと重みを体感した。ジャンプシートに座りマイクを握ると、普段とはまったく違う緊張感に包まれる。声のトーンは保てていても、滑舌が追いつかず、悔しさが残る場面もあった。それでも周囲の参加者やCAの声に支えられ、最後までやり切ることができた。
続いて体験したのがドリンクサービスだ。今回は本物の指導CAと2人1組で行う形で、プロの隣に立つだけで自然と背筋が伸びる。カート操作や提供のタイミング一つひとつに神経を使い、独特のドキドキ感があった。カートは足元のレバーで進行と停止を管理し、動かす前には必ず一度引いて安定を確認する。一人が操作に集中し、もう一人が提供に専念することで、安全とサービスの質を同時に保っている。
ドリンクを注ぐ際には、JALのカップに描かれた鶴のマークが目安となる。その位置で止めることで、揺れがあっても溢れにくく、美しく仕上がるそうだ。実際にやってみると、ついサービス精神が先に立ち、若干多めに注いでしまい、隣のCAにそっとフォローしてもらう場面もあった。
非常時対応の体験では、声の出し方一つで空気が一変することを実感した。ライフジャケットの装着体験を通し、訓練の重要性を改めて認識する。年に一度の救難訓練を欠かさない理由が、自然と理解できる時間だった。
今回は水面着陸を想定した訓練として、ライフジャケットを実際に着用し、避難の流れを体験した。普段、ライフジャケットの非常時の案内は仕事の中で何度も説明しているが、実際に使用するのは初めてだった。
ライフジャケットの紐を引くと、想像以上に大きな音とともに一気に膨らむ。音に敏感なこともあり、その瞬間は思わず身体がこわばった。さらに、引く動作自体もスムーズにはいかず、非常時に冷静さを保つことの難しさを身をもって知ることになった。












