バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」、今回は華やかなアジア大会の舞台裏! 選手を運ぶバスたちをのぞいてみたお話だ。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■アジア大会ってなんぞや?
名古屋ではアジア競技大会の話題でもちきりだった。2026年10月4日にアジア大会は閉幕したばかりだが、今度は10月18日から24日までアジアパラ競技大会が行われる。よく聞く「アジア大会」だが、そもそも「アジア大会ってなんぞや?」と思っている方もいるだろう。
ものすごく簡単に言えば、アジアの国と地域が参加する「アジア版オリンピック」のような大会である。オリンピックと同じく4年に一度開催され、アジア各地からトップアスリートが集まるスポーツの祭典だ。
第1回大会は1951年、インドのニューデリーで開催された。オリンピックと比べれば歴史は浅いものの、70年以上続いている国際大会である。日本での開催は今回が3回目となった。さまざまな競技が行われるなか、競技一覧を眺めていて筆者が特に驚いたのが「eスポーツ」だ。
一昔前なら、まさかゲームがスポーツとして扱われ、それも国際的な総合競技大会でメダルを争うことになるとは想像していなかった人も多いのではないだろうか。今回の大会では、日本の小学5年生・栗原悠輝選手(11歳)が金メダルを獲得し、大きな話題となった。時代とともに、スポーツの形も変わっているのだなぁ……と感じる。
■華やかな大会と裏側を走るバスたち
さて、ここからがバスマガジンらしい話である。テレビに映るのは華々しく活躍する選手たちだが、その選手を宿泊施設から競技会場へ、そして次の目的地へと運ぶ人たちがいる。そう、バスだ。
今回のアジア大会では、全国各地のバス会社が協力し、選手や大会関係者などの輸送を担った。今回の大会では専用の選手村を設けず、ホテルやクルーズ船など複数の宿泊施設が活用された。
つまり輸送する側からすれば、ひとつの選手村と競技会場を往復するだけではない。それぞれの宿泊地や競技会場、そして選手たちのスケジュールに合わせて、多くのバスが動くことになる。筆者自身、今回の大会期間中に現場で働く運転士やバス関係者に話を聞く機会があった。
もちろん、ここで紹介するのは筆者が直接聞いた範囲での話であり、大会輸送全体の状況を示すものではない。それでも、普段なかなか表には出てこない「大会輸送の現場」を垣間見ることができた。
なかには長野県から応援に入り、名古屋周辺のホテルに泊まり込みながら、連日大会輸送にあたっているという運転士もいた。普段はそれぞれの地域を走っているバスと乗務員が名古屋へ集まり、まさに全国各地から人とバスがこの大きな大会を支えていたのである。
■やはり待遇面か!
一方、話を聞いていて気になったのが待遇だ。大会輸送に対して特別な手当が支給されるという会社もあったが、筆者が話を聞いた範囲では、特別な手当はないというケースも少なくなかった。もちろん、給与体系や手当の考え方は会社によって異なる。
しかし、普段とは違う土地で宿泊を伴いながら国際大会の輸送を支える人もいることを考えると、華やかな大会の裏側には、こうした乗務員たちの働きがあることも知ってほしい。そして、大規模な大会ならではの難しさを感じさせる話も聞いた。
予定されていた輸送のため現地へ向かったものの、結果的に乗車する人がおらず、乗客ゼロのまま運行することになったケースがあったという。また、宿泊を伴う勤務として現地へ向かったものの、予定していた宿泊場所を利用できず、結果として営業所まで戻ることになったという話もあった。
これらはあくまで筆者が現場で直接聞いた個別の事例であり、大会輸送全体で同様のことが起きていたということを意味しない。ただ、こうした話を聞くなかで、改めて感じたのが「情報をつなぐこと」の大切さだった。
観光バスの仕事では、予定変更そのものは決して珍しいことではない。渋滞で到着が遅れたり、お客様の都合で出発時間が変わったりすることもある。私たちもその都度、状況に合わせながら対応している。
しかし国際大会ともなれば、動くのは一台、二台ではない。宿泊施設も競技会場も複数あり、多くの選手や大会関係者、そして多数のバスが同時に動く。ひとつ予定が変われば、その情報を関係する輸送担当者へ正確につないでいかなければならない。



