歩道橋やビルの上からバスを見下ろすと、屋根に大きく文字が書かれている車両に時々出くわす。ただのデザインだろうか……それとも!?
文・写真:中山修一
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■屋根に文字の代名詞と言えばアレ
ボディの前後左右だけでなく、屋根にまで何らかの情報を示した乗り物と聞けば、消防車や救急車、パトカーを真っ先に思い浮かべる。
緊急車両の類では、漢字・数字・アルファベットを組み合わせた、略語または暗号っぽく文字が記され、パッと見ただけで解読するのは難しい。
意味不明な文字の羅列を屋根に記して、何の得があるのかナゾに思えてくるかもしれないが、関係各位には、ちゃんと伝わるように出来ている。
そういった消防車・救急車・パトカーの屋根に書かれた文字のことを、「対空表示」や「対空標識」という用語で表せる。
これは災害や事件等で現場にいる各緊急車両の所属先や用途などを、上空を飛んでいる支援のヘリコプターからでも把握しやすくするためで、ほぼ必ず書かかれている。
目的がそのまま名称になった「ヘリサイン」とも呼ばれ、救急車と消防車では、車両が所属している地域や場所・隊名などのほか、一部の車両には種類(用途)まで併記してある。
パトカーの場合、車両の所属を記号や数字・漢字等で略して表したものと、所属先での車両管理番号をセットで記すのが基本形と言える。
■緊急車両と同じ意味合いなのか?
消防・警察の緊急車両の屋根文字に、確たる意味が込められているのはともかく、普段緊急性を全く感じないバスのほうも、似た理由から文字を施しているのだろうか。
まず、全てのバス車両の屋根は文字入りなのかと見ていくと、むしろ文字なしのほうが多いようで、緊急車両のように必須ではなく、文字の有無はバス事業者の任意と見られる。
ほとんどのバス車両の屋根に文字を入れている事業者の例に、大阪府の大阪シティバスが挙げられるが、同社の資料によると屋根の文字は「テロ対策」と明記している。
事件や事故など万一の際、高い場所や空からバス車両を特定できるようにするのが目的という点で、大阪シティバスの屋根文字は緊急車両の対空表示に性質がかなり近い。